ハチャトゥリアン
ハチャトゥリアン
ハチャトゥリアンの生涯・経歴
ハチャトゥリアン(1903-1978)は、当時ロシア帝国の一部だったグルジア(現在のジョージア)出身で、ソ連で活躍したアルメニア人の作曲家、指揮者である。ショスタコーヴィチやカバレフスキーと同世代である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ウェーバーの「舞踏への勧誘」他』 2022/9/5放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番』 2023/3/6放送。NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
1903年、多くの民族が共存していた帝政ロシア時代のジョージアに生まれ、1978年にモスクワで亡くなった。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
両親がアルメニア人(当時はソ連の一部)であったことから、アルメニアやジョージアの民謡、民族音楽に慣れ親しんだ。ハチャトリアンは母親が歌うアルメニアの古い歌やジョージアの民謡を聞いて育ったと語っている。
また、隣国に当たるアゼルバイジャンや南コーカサス地方の民謡や舞曲にも魅了されていた。20世紀初頭、黒海とカスピ海の間に広がる広大なコーカサス地方には、吟遊詩人(放浪する音楽家や大道芸人)が数多くいたので、そうした旅芸人やストリートミュージシャンの歌や踊りからも好ましい影響を受けたと思われる。
ハチャトゥリアンをそれらを素材にした生命力あふれるダイナミックな音楽を数多く作曲した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ウェーバーの「舞踏への勧誘」他』 2022/9/5放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番』 2023/3/6放送。NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
ハチャトリアンはその後モスクワ音楽院で作曲を学んだ。作曲の先生は多くの交響曲を書いたミャスコフスキーであった。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
1930年代前半、アルメニアの民族音楽をベースとした舞踏組曲で注目され、1940年代前半に発表したバレエ音楽「ガイーヌ(ガヤネー)」で作曲家としての名声を確立した。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
ハチャトリアンは親しみやすい音楽を書いたが、ショスタコーヴィッチ同様、当時のソビエト政府からジダーノフ批判にもあっている。
しかし、映画音楽「レーニン」で喝采を博すなど、激動の時代を生き抜いた作曲家ならではのタフさも見せた。1950年代には代表作の1つバレエ「スパルタクス」を発表している。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
指揮者としても優れ、1963年には読売日本交響楽団と京都市交響楽団の指揮台に立ち、自作を披露している。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
ハチャトゥリアンの音楽史における位置づけ
ソ連の代表的作曲家
ハチャトゥリアンはプロコフィエフ、ショスタコーヴィチと共にソ連を代表する作曲家である。
社会主義リアリズム
ハチャトゥリアンは、国民楽派の延長として民族的要素を取り入れた社会主義リアリズムの代表的作曲家と見なされる。
アラム・ハチャトゥリアン - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/アラム・ハチャトゥリアン
ハチャトゥリアンの作品
バレエ音楽
ガイーヌ
ハチャトゥリアンの代表作の1つで、この作品で作曲家としての名声を確立した。
すでに作曲されていた自身のバレエ音楽を基に1942年に作曲された。
音楽にはアルメニアの民族音楽や民謡などのモチーフがふんだんに使われている。
なお、この作品は全体リハーサルの前日になっても終盤のある場面の音楽が出来上がっていなかった。ハチャトゥリアンは頭を抱えたが、夜中になってメロディーがひらめき、一気に書き上げた。こうして締め切りのぎりぎりに生まれた曲が作品の中でも特に知られる「剣の舞」だったという。
NHK-FM(東京) 『チャイコフスキーの交響曲第5番 - クラシックの庭』 2024/9/16放送。NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送
交響曲
ハチャトゥリアンは交響曲を3曲書いた。
交響曲 第3番 ハ長調 「交響詩曲」
この作品は第2次世界大戦が終結した1945年に着手され、その2年後、ロシア革命30周年を祝う曲として初演された。
曲の冒頭では15本のトランペットによる盛大なファンファーレが奏でられる。しかし、その後、祝祭的な雰囲気をかき消すようにオルガンが登場する。単一楽章で繰り広げられる音楽は単なる華やかな賛歌ではなく、凶器さえ感じさせる怒涛の展開を迎える。このことからソ連当局に常軌を逸した内容であると批判されてしまう。
その後、ハチャトゥリアンは交響曲の作曲を止め、バレエや映画の音楽を中心に作曲活動を続けた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番』 2023/3/6放送
組曲
組曲「仮面舞踏会」
ハチャトゥリアンの代表作の1つ。
「仮面舞踏会」はロシアの文豪レールモントフの戯曲のための劇音楽として作曲された。
なお、この戯曲はロシアの貴族社会を舞台にした物語で、仮面舞踏会をきっかけに妻の不貞を疑い始めた夫が妻を信じきれず、最後は殺めてしまう悲劇を描いている。
後にその劇音楽の聴きどころを集めた次の5曲からなる組曲を編んだ。
中でも知られる「ワルツ」は殺されてしまう妻が生前最後に踊ったワルツの場面の音楽で、作品最大の見せ場と考えていたハチャトゥリアンは、苦労の末にこのワルツを生み出した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ウェーバーの「舞踏への勧誘」他』 2022/9/5放送
この組曲は発表時から高い評価を受けていて、劇音楽が演奏されることは稀な一方、組曲はしばしば演奏される。
仮面舞踏会 (ハチャトゥリアン) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/仮面舞踏会 (ハチャトゥリアン)
協奏曲
バイオリン協奏曲 ニ短調
全3楽章。1940年に作曲された。
ハチャトリアンはその少し前にアルメニアの首都エレヴァンのオペラハウスのためにバレエ音楽「幸福」を書き、さらに政治色も強い映画音楽にも取り組んでいたが、そうしたドラマティックかつロマンティックな調べを織り込みながら、オーケストラパートも充実したバイオリン協奏曲を書こうと思った。幸いロシアを代表するバイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの協力、助言を得ることができた。バイオリン協奏曲は1940年モスクワで開催されたソビエト音楽祭で初演され、成功を収めました。
なお、このバイオリン協奏曲は1960年代の後半にフランスのフルート奏者ジャン=ピエール・ランパルの求めに応じる形でフルート協奏曲に編曲もされ、フルート協奏曲としてもよく知られている。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのバイオリン協奏曲 - 音楽の泉 - NHK』 2024/5/19放送。ヴァイオリン協奏曲 (ハチャトゥリアン) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァイオリン協奏曲 (ハチャトゥリアン)
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