[歴史②]世界史

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メシアン


メシアン

メシアンの生涯・経歴

メシアン(1908-1992)は20世紀のフランスの現代音楽の作曲家である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 自然に抱かれて(1)』 2024/1/26放送

1908年に英語教師の父と詩人の母との間に生まれた。父はシェイクスピアの翻訳もしており、文学的な環境で育ったことになる。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、264項。

1931年、22歳から約60年余りパリのサントトリニテ教会のオルガニストを務めた。

NHK-FM(東京) 『現代音楽 100年のレガシー」(19) メシアン1 - 現代の音楽』 2024/2/4放送

1930年代にはアンドレ・ジョリヴェに声をかけ、イヴ・ボードリエらとともに「若きフランス」というグループを立ち上げた。それは現代の音楽に叙情性と人間性の回復を目指す運動であった。

NHK-FM(東京) 『現代音楽 100年のレガシー」(19) メシアン1 - 現代の音楽』 2024/2/4放送

メシアンの人物像

カトリック信仰

メシアンは神秘的なものに興味を抱き、熱心なカトリック教徒になった。
これらが20世紀の作曲家としては珍しい、カトリックの宗教音楽を数多く作曲するベースとなった。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、264項。

ただし、伝統的なオラトリオやカンタータといった宗教的ジャンルではなく、主としてオペラやオーケストラ、室内楽、器楽曲でカトリック信仰を表現した。
それはカトリック信仰を自らの創作の基盤に置きながら、厳格な宗教音楽の世界に邁進するのではなく、広く世界の人々に届く音楽形式を通じて独自の芯の通った創作活動を展開しようとしたのだと思われる。

NHK-FM(東京) 『現代音楽 100年のレガシー」(19) メシアン1 - 現代の音楽』 2024/2/4放送

メシアンは少年時代から鳥の声を好み、フランス各地の自然の中で多くの時間を過ごし、聞こえてくる鳥の鳴き声を五線紙に書き留め作品に取り入れていった。実際に山や野に出かけては鳥のさえずりを聞き、楽譜に書き取っていく作業を繰り返して膨大な鳥の歌を採布している。こうして生まれたピアノ曲集として「鳥のカタログ」がある。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 自然に抱かれて(1)』 2024/1/26放送。NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送

生涯にわたって鳥類学を研究し、鳥をタイトルにした曲、鳥の鳴き声をモチーフにした曲が他にもあり、鳥の声、さえずりはメシアンの作風において大変重要な役割を果たしてきた。すでに1930年代の「主の降誕」、40年代の「世の終わりのための四重奏曲」でも鳥の歌が織り込まれているが、1950年代に入ってからは多種多彩な鳥の歌を作品の中核とするようになった。

NHK-FM(東京) 『音楽の泉 イベールのフルート協奏曲』 2024/2/18放送。NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送

オンド・マルトノ

メシアンはオンド・マルトノという電子楽器にも深い興味を抱き、いち早くこの楽器のための曲を書いている(「美しい水の祭典」)。
メシアンがこの楽器を大変気に入っていたことはこうしたオンド・マルトノを取り入れた作品ばかりでなく、パリ音楽院のオンド・マルトノ科の開設に力を注いだり、日本でもどこか楽器製作をしてくれるところがないかと尋ねていたというエピソードからも伝わってくる。

NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送

メシアンの意義・評価

近代フランス音楽界の巨人

メシアンの作品

交響曲
トゥランガリラ交響曲

ピアノとオンド・マルトノ、そしてオーケストラのための長大な交響曲。ここでもメシアンはオンド・マルトノをピアノを含む大編成のオーケストラのために取り入れている。
メシアンのオーケストラ作品の中でも特に演奏される機会の多い作品。
タイトルは古いインドのサンスクリット語に由来し、メシアン自身によると、愛の歌、喜びに捧げられた讃歌であるという。
この作品はリズム、旋律、形式、楽器、編成など全てにおいて極めて独創的。全10楽章で構成されている。その中で4つの共通するテーマが全曲の中で行き交うことで、全体に統一感がもたらされている。

NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送。NHK-FM(東京) 『▽メシアンのトゥランガリラ交響曲 他 - クラシックカフェ - NHK』 2022/6/28放送

管弦楽曲
クロノクロミー

1959年から60年にかけて作曲された。
「4つのリズムのエチュード 第2曲 音価と強弱のモード」とも共通する精緻な構造と鳥の歌や自然の音が組み合わされた作品。全部で7曲から構成されている。

NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送

室内楽曲
美しい水の祭典

パリ万国博覧会のために作曲した。
オンド・マルトノの六重奏曲という珍しい編成になっている。野外の演奏ということでスピーカーから音を出す電子楽器を使ったという素晴らしいアイデアである。

NHK-FM(東京) 『現代の音楽 「現代音楽 100年のレガシー」(20) メシアン2』 2024/2/11放送

世の終わりのための四重奏曲

「ヨハネの黙示録」第10章から曲想を得た曲集。
この曲が書かれたのは第2次世界大戦でドイツ軍がフランスに攻め込み、徴兵で戦っていたメシアンが捕虜収容所に連れて行かれ、そこで過ごしていた人生の中でも極めて苦しかった時期のことであった。捕虜収容所で出会った音楽家たちが演奏できる楽器を用いた四重奏曲を書き上げていて1941年雪に覆われたゲルリッツのバラックの中で初演されたと伝えられている。

NHK-FM(東京) 『現代音楽 100年のレガシー」(19) メシアン1 - 現代の音楽』 2024/2/4放送

ピアノ曲
鳥のカタログ

全7巻13曲からなるピアノ曲集。それぞれの曲には、フランスのあらゆる地方に生息する鳥の名前が付けられている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 自然に抱かれて(1)』 2024/1/26放送

オルガン曲
聖なる三位一体の神秘への瞑想

この作品は1967年にサントトリニテ教会の建立百周年記念の催しで行われた一連の即興演奏のためのスケッチに基づき、ほぼ2年後に完成された曲集。全9曲。

NHK-FM(東京) 『現代音楽 100年のレガシー」(19) メシアン1 - 現代の音楽』 2024/2/4放送

フルート曲
クロウタドリ(黒つぐみ)

1952年43歳の時に作曲。
フランスにはパリ音楽院フルート科の試験課題曲、あるいはパリ音楽院コンクール課題曲が優れた作曲家によって作られ、それによってフルートの名曲が誕生するという伝統があるが、「クロウタドリ」もパリ音楽院ゆかりの作品。

NHK-FM(東京) 『音楽の泉 イベールのフルート協奏曲』 2024/2/18放送



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