[歴史②]世界史

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コダーイ


コダーイ

コダーイの生涯・経歴

コダーイ(1882-1967)は20世紀に活躍したハンガリーの作曲家、民族音楽学者、教育家である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ』 2023/6/5放送。小学館 『日本大百科全書』

コダーイは1882年12月16日にハンガリーのケチケメートで生まれた。

少年時代からピアノやバイオリン、チェロを学んだ。

ブダペストの大学に進み、語学をはじめ幅広い教育を受けた。

また、ブダペスト王立音楽院でも学んだ。作曲をケスラーに師事し、作曲と音楽教育法のディプロマを得た。

NHK-FM(東京) 『バルトークとコダーイ 自作自演集 - 名演奏ライブラリー』 2025/3/30放送

20歳を過ぎた1905年ごろから真のハンガリー民謡である民族音楽に関心を抱き、音楽院の同門で1歳年長のバルトークとともに民謡や舞曲の採集・調査を開始した。

そして、1906年にはハンガリー民謡に関する論文で博士号を取得した。
また、この年には管弦楽曲「夏の夕べ」が初演され、留学のための奨学金を得てベルリンやパリに滞在した。

帰国後の1907年には母校のブダペスト王立音楽院の教授となり、真のハンガリーの芸術音楽を確立するために数々の作品を作曲した。

そして、集めた曲をまとめてさまざまな本を出版し、ハンガリーの民族音楽研究の第一人者として活躍した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』 2024/2/8放送。小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『バルトークとコダーイ 自作自演集 - 名演奏ライブラリー』 2025/3/30放送

また、同時期に知ったドビュッシーの音楽の影響を加えて、民俗音楽に根ざした独自の語法を開拓していった。

小学館 『日本大百科全書』

第2次世界大戦

第2次世界大戦中にはハンガリーを出国したバルトークに対して、コダーイは母国に残り、一時期は修道院の地下室に逃げ込むなど苦難の時期を経て、大戦後は国民議会代議員をはじめ、ハンガリー音楽界の最長老として多くの要職を務めた。また、イギリス、アメリカ、ソビエト連邦などで自作を指揮して好評を博した。

NHK-FM(東京) 『バルトークとコダーイ 自作自演集 - 名演奏ライブラリー』 2025/3/30放送

他の音楽家との関係

バルトーク

ハンガリーの作曲家バルトークは20代半ばにコダーイと出会った。コダーイはバルトークの1歳年下で2人は同世代である。それぞれにハンガリー民謡の採集を始めた頃でたちまち意気投合し、共にハンガリー各地やその周辺の民謡収集と研究を行なった。ハンガリー民謡といえば、19世紀は主にロマの音楽がハンガリーの音楽と思われていたことからバルトークとコダーイはハンガリーの農民の間に伝承されている音楽こそが本当のハンガリー民謡だと考えた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのルーマニア民俗舞曲』 2023/7/27放送

コダーイの意義・評価

民族音楽学者

コダーイは音楽学者でもあり、ハンガリーのさまざまな村を訪ね歩いては、その地に息づく民謡を集め、研究を重ねた。作品には自らが出会った民謡の素材を用い、民族色あふれる楽曲を数多く生み出している。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ』 2023/6/5放送

教育家

コダーイは民謡に基づく音楽教育の面で大きな功績を残している。

小学館 『日本大百科全書』

コダーイの作品

作風

並び称されることの多いバルトークとは対照的に、コダーイはけっして急進的に走らず、古典的で明快な作風をみせた。

小学館 『日本大百科全書』

オペラ(歌劇)
ハーリ・ヤーノシュ

ハンガリーの民話に登場する愉快な主人公ハーリ・ヤーノシュをモチーフにした作品。

ハーリ・ヤーノシュは、古くからハンガリーの民話に登場するほら吹き男。彼はいつもまるで本当に起きたかのように空想上の冒険談を周りの人々に話していた。コダーイはハーリが語る冒険談を題材にオペラを作曲した。なお、オペラの聴きどころ6曲を集めて組曲も作っている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」』 2023/5/1放送

管弦楽曲
夏の夕べ

コダーイの出世作。1906年に初演された後、1929年から30年にかけてトスカニーニの勧めで改訂され、現在の形になった。

NHK-FM(東京) 『バルトークとコダーイ 自作自演集 - 名演奏ライブラリー』 2025/3/30放送

マロシュセーク舞曲

先述したようにコダーイはハンガリーの農民の間に伝承されている音楽こそが本当のハンガリー民謡だという考えのもと、民謡の収集と研究を進め、自ら作品にも用いた。
この作品もその1つ。現在のルーマニアに位置するトランシルヴァニア地方マロシュセークの民謡を元にしたピアノ曲として作曲したが、その後、コダーイ自身が管弦楽用にも編曲した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのルーマニア民俗舞曲』 2023/7/27放送

ガランタ舞曲

51歳の年に子供時代に多くの時間を過ごしたハンガリー北西部の街ガランタにちなんで作曲した管弦楽曲。
ガランタの街には古くからロマの人々が暮らしていた。コダーイは18世紀末から19世紀初頭に出版されたハンガリー舞曲の楽譜の中から7つの舞曲を選び出し、自身で収集した1曲を加え、それらに基づくガランタ舞曲を作った。親しみやすく、華やかな作品

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドボルザークスラブ舞曲作品72』 2023/10/3放送

ハンガリー民謡「くじゃく」による変奏曲

コダーイが57歳を迎えた1939年の作品。
第二次世界大戦が勃発しようとする大変な緊張感の中、作曲されたもので、ハンガリー民謡「くじゃく」の旋律を次第に用いている。この民謡は古くから歌われてきたもので、かつてオスマン帝国に支配されていたハンガリーの民衆たちの自由を求める願いが歌われている。コダーイが変奏曲を作曲したころ、ハンガリー政権はナチスと手を組んで非人道的な政策を行っていた。そのことに対する怒りと抗議の意思がこの曲に込められている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』 2024/2/8放送

弦楽のための協奏曲

この作品はシカゴ交響楽団の創立50周年記念の委嘱作で、1939年から翌40年にかけて作曲された。
当初、コダーイ自身がシカゴ交響楽団を指揮して初演する予定であったが、第2次世界大戦の影響でコダーイは渡米を取りやめ、彼が書き記したスコアはアメリカに渡るバルトークに託されて海を渡り、1941年にシカゴ交響楽団の音楽監督であったフレデリック・ストックによって初演された。
単一楽章の作品で、五音音階の活用や舞曲的なリズムなど、ハンガリーの民族音楽の要素が活用されている。

NHK-FM(東京) 『バルトークとコダーイ 自作自演集 - 名演奏ライブラリー』 2025/3/30放送

器楽曲
無伴奏チェロ・ソナタ 作品8

1915年の作品。民謡風のメロディーやリズムが随所に感じられるばかりでなく、独奏チェロの華麗な技巧がふんだんに用いられている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ』 2023/6/5放送



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