ドビュッシー―作品
ドビュッシーの作品
作風
無調音楽
ドビュッシーは独自の響きを追求し、無調音楽への先駆けとなった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送
ピアノ曲
ボヘミア風舞曲
1880年18歳の年に作られたピアノの小品。ドビュッシーのピアノ曲の中で現在知られている最も古い作品だと言われている。ボヘミア独特のリズムで書かれ、弾むような軽やかな曲。
NHK-FM(東京) 『モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送
2つのアラベスク
ローマ賞の大賞を受賞してローマに留学し、2年の滞在を終えて帰国後20代半ばで作曲した曲である。
アルペジオの流れる様なメロディーに彩られた第1曲と軽やかで躍動感あふれる第2曲で構成されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドビュッシーの二つのアラベスク 他』 2022/10/24放送
舞曲
ドビュッシーのピアノ小品。当初、「スティリー風タランテラ」というタイトルで出版されていた。スティリーはオーストリアのチロル地方の地名である。曲全体は6/8拍子の急速な舞曲で、タランテラのリズムに基づいており、明るい民族的なダンスが表現されている。
なお、この曲はラヴェルが管弦楽版への編曲を行っている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」他』 2022/11/29放送
ロマンチックなワルツ
1890年28歳の年に作られたショパンの影響が強く感じられる作品。ワルツのリズムが刻まれる中、右手がロマンチックなメロディーを歌い始める。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ブルックナーの交響曲第4番「ロマンチック」』 2023/7/25放送
喜びの島
プーランクの「シテール島への船出」と同じく18世紀のフランスの画家ヴァトーに着想を得た作品(1904)である。
音の響きを細やかに重ねて、幻想的な雰囲気の中に愛の喜びを描き出している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽プーランクのオルガン協奏曲 他』 2022/9/28放送
ハイドンをたたえて
1909年に作曲。
ドビュッシーの楽曲一覧 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ドビュッシーの楽曲一覧
ハイドン没後100年を記念して音楽雑誌が企画した特別号のために作られた。その企画はハイドンの名前のつづりをドイツ語の調整記号によって読み替えて得られた5つの音からなる音型を用いて作品を作るというものであった。ドビュッシー、ラヴェル、デュカスを含む6人の作曲家が依頼を受けて曲を作った。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスの組曲「動物の謝肉祭」ほか』 2023/11/28放送
レントよりおそく
この作品はピアノ曲として、1910年、48歳の年に作られた。ワルツ風の小品で印象的な優雅なメロディーが洗練されたハーモニーを伴って奏でられる。
のちにドビュッシー自身が編曲した管弦楽版もある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」他』 2022/11/29放送
2つの前奏曲集
バッハの「平均律クラヴィーア曲集」やショパンの「24の前奏曲」などと同様に、24曲からなる前奏曲集である。
前奏曲 (ドビュッシー) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/前奏曲 (ドビュッシー)
前奏曲集 第1巻
1909年から翌年にかけて、ドビュッシーは2カ月という短い期間で12曲からなる前奏曲集第1巻を作曲した。これにはショパンの生誕100年を記念して出版する意図があったとも言われている。
12曲はそれぞれタイトルがつけられている。なお、第8曲は「亜麻色の髪の乙女」である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ドビュッシーの前奏曲集第1巻 他』 2022/07/13放送
前奏曲集 第2巻
12曲からなる曲集。
第7曲 月の光が降り注ぐテラス
この曲はフランスから遠く離れた国インドでの戴冠式の様子を報じた文章に着想を得たという。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」他』 2022/08/29放送
第8曲 水の精
この曲は展覧会で見た童話の挿絵にインスピレーションを得て書いたという。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」他』 2022/08/29放送
ピアノのための12の練習曲
ドビュッシーの最晩年のピアノ曲。1915年に作曲し、そして、この作品集をショパンの思い出に捧げた。
ドビュッシーはショパンと同じく単なる指の訓練ではなく、芸術的な内容を持ったピアノ曲に仕上げている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」』 2023/9/6放送。練習曲 (ドビュッシー) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/練習曲 (ドビュッシー)
ピアノ独奏のための組曲
ベルガマスク組曲
20代の終わりから30代の初めにかけて作曲。
「前奏曲」、「メヌエット」、「月の光」、「パスピエ」の4曲で構成される組曲で、初期のドビュッシーらしい簡潔な構成と美しい響きが特徴。
この曲集の後、ドビュッシーは「ピアノのために」、「版画」、「映像」、「子供の領分」と数々のピアノ独奏の組曲を作曲した。「ベルガマスク組曲」はそうした作品を生み出していく礎となった組曲である。
また、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」、ラヴェルの組曲「クープランの墓」と並び、ピアノ独奏のための組曲というジャンルの代表作でもある。
NHK-FM(東京) 『ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/12/21放送
ピアノのために
1901年に出版された。
前奏曲、サラバンド、トッカータの3曲からなる。第2曲のサラバンドはすでに1894年に作曲されていたことが分かっている。
初演は1902年スペイン出身の名ピアニスト、ビニエスが弾いた。また、ドビュッシーがなくなった後の1922年には第2曲のサラバンドをラヴェルが管弦楽のために編曲している。
この作品はドビュッシーが独自の和声法を確立する時期の傑作として知られ、多くのピアニストに愛され演奏されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
版画
「版画」は、1903年に完成されたピアノ曲集であり、「映像」とともに印象主義音楽のピアノ曲の書法を確立した作品である。独立した3曲からなる。そのうちの「塔」は夢の国・東洋への幻想を描いた曲である。
映像 第1集・第2集・第3集
ドビュッシーはピアノのための映像第1集と第2集、そして管弦楽のための映像第3集という3つの曲集を完成させた。それぞれ3曲ずつの曲集である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ドビュッシーの前奏曲集第1巻 他』 2022/07/13放送
映像 第1集
映像第1集は次の3曲から構成される。
- 水に映る影
- ラモー賛歌
- 動き
第1曲は「水に映る影」というタイトルを持っているが、ラヴェルの「水の戯れ」が水そのものの動きを表現した曲であるのに対して、ドビュッシーの「水に映る影」は、水に映し出された光と影が揺れ動き、様々に姿を変えていく様子を描き出している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ヘンデルの組曲「王宮の花火の音楽」ほか』 2022/07/26放送
映像 第2集
映像第2集は次の3曲から構成される。曲名が楽曲の物語を語っている。
- 葉ずえを渡る鐘
- 荒れた寺にかかる月
- 金色の魚
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 音がつむぐものがたり(2)』 2023/11/7放送
特に「金色の魚」は日本の蒔絵からインスピレーションを受けたと言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 音がつむぐものがたり(2)』 2023/11/7放送
映像 第3集
映像第3集は次の3曲から構成される。
- ジーグ
- イベリア
- 春のロンド
「イベリア」はドビュッシーが43歳になる1905年から1908年にかけて作曲された。イベリア半島に題材をとったこの曲は、全体を通してスペイン風のリズムや音色が際立っている。しばしば単独で演奏される。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ドビュッシーの前奏曲集第1巻 他』 2022/07/13放送。映像 (ドビュッシー) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/映像_(ドビュッシー)
子どもの領分
6曲からなるピアノのための組曲。
先述したように、ドビュッシーは1905年、43歳になる年に娘を授かり、大変可愛がった。1908年にこの曲を作曲して娘に捧げた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 冬のぽかぽかクラシック(3)』 2022/12/21放送
なお、フランスの作曲家カプレが1910年にこの作品をオーケストレーションしている。ドビュッシーもこの編曲を気に入ったようで、1912年パリの演奏会でドビュッシー自らも指揮をした。カプレは1878年生まれでドビュッシーと親交があり、指揮者でもあった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送
ピアノ連弾曲
小組曲
作曲家の登竜門だったローマ大賞を受賞してイタリアに留学し帰国した1887年頃からドビュッシーはフランスらしさを探求するようになる。特にヴェルレーヌやマラルメのような象徴主義の詩人の影響を強く受けた。この作品はそうした時期の1889年に作曲された。
ピアノ連弾のための作品で「小舟で」「行列」「メヌエット」「バレエ」の4つの曲からなる。第1曲と第2曲はヴェルレーヌの作品を基にしていると言われている。
後にドビュッシーの友人だったビュセールが管弦楽用に編曲していて、現在ではこの編曲の方がよく演奏されている。ビュセールはドビュッシーより10歳年下の1872年生まれで、作曲家、指揮者、教育者として長年活躍を続け、1973年にパリで101歳の生涯を閉じた。
また、ゾルターン・コチシュがチェロのボーイングなどペレーニの協力も得て編曲したチェロとピアノ版もある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのルーマニア民俗舞曲』 2023/7/27放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
民謡を主題としたスコットランド風行進曲
28歳になる1890年、アメリカの軍人からの依頼で作曲した連弾によるピアノ曲。ドビュッシーが初めて依頼を受けて作曲した作品である。
後にこの作品を管弦楽に編曲し、現在のタイトルになった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送
古代のエピグラフ
ギリシャへの憧れを元に書いたピアノ連弾用の作品。全6曲。
NHK-FM(東京) 『アミハイ・グロス&三浦謙司 デュオ・リサイタル - ベストオブクラシック』 2023/7/6放送
リンダラージャ
この作品は1901年、ドビュッシーが39歳の年に作曲された。
曲名のリンダラージャとは、スペイン南部のグラナダにあるアルハンブラ宮殿の中庭の名前である。
ドビュッシーはハバネラのリズムを用いながら、異国情緒あふれる独特な世界を生み出している。
作曲のきっかけは明らかになっておらず、作品自体ドビュッシーの死後に発見された。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトの2台のピアノのためのソナタ 他』 2022/11/28放送
室内楽曲
ソナタ
ドビュッシーは晩年、さまざまな編成による6曲のソナタの作曲を計画する。
1曲目にチェロソナタ、二曲目にフルート、ビオラとハープのためのソナタを書き上げた。
しかし、1916年から17年にかけて3曲目に当たるバイオリンソナタまで完成させたところで病に倒れ、その初演の翌年1918年、55歳で世を去った。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」』 2023/3/27放送。NHK-FM(東京) 『フェデリコ・アゴスティーニ バイオリン・ソナタを弾く - ベストオブクラシック』 2022/4/28放送
チェロ・ソナタ
この作品はソナタのシリーズの第1作で1915年に作曲された。即興的で変化に富んだパッセージが随所に散りばめられたこの曲にドビュッシー自身は「月と仲たがいしたピエロ」という名を付けている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」』 2023/3/27放送
フルート、ビオラ、ハープのためのソナタ
1915年に完成されたソナタ。3つの楽器が掛け合って神秘的な雰囲気を作り出している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのビオラ協奏曲』 2023/5/10放送
残された他の2曲と共に、ドビュッシーが作曲した室内楽曲の傑作と評価されている。
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
なお、武満徹はドビュッシーの音楽やこのソナタを愛し、同じ編成で名曲を書いている。
NHK-FM(東京) 『音楽の泉』 2022/2/21放送
バイオリン・ソナタ
晩年のドビュッシーが計画した6つのソナタの3曲目に当たるバイオリンソナタは1916年から17年にかけて作曲され、名手ガストン・プーレのバイオリンとドビュッシー自身のピアノで初演された。
しかし、初演の翌年1918年にドビュッシーは病に倒れ、55年の生涯を閉じた。
このバイオリンソナタが彼の最後の作品となった。
NHK-FM(東京) 『フェデリコ・アゴスティーニ バイオリン・ソナタを弾く - ベストオブクラシック』 2022/4/28放送
弦楽四重奏曲 ト短調 作品10
1893年に書き上げた作品。
ドビュッシーが19世紀末のパリ万博で耳にしたガムランやロシア音楽の影響を受けて書いた作品で発表された当時は西洋の伝統的なハーモニーから逸脱した音の響きが世間に衝撃を与えた。
なお、このおよそ10年後、ラヴェルがまだ20代の頃、この作品に影響を受けて1900年から3年にかけて「弦楽四重奏曲 ヘ長調」を作曲している。ドビュッシーは、ラヴェルの弦楽四重奏曲を大変高く評価して、そのままで素晴らしい、どこにも手を入れてはならないと語ったというが、その後、ラヴェルは部分的に改訂し、出版した。今日演奏されているのは、この改訂版である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送。NHK-FM(東京) 『ヴォーチェ弦楽四重奏団 演奏会 - ベストオブクラシック』 2024/9/18放送
ドビュッシーの現存する作品では唯一作品番号付きで出版されている。
弦楽四重奏曲 (ドビュッシー) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/弦楽四重奏曲 (ドビュッシー)
その他
ハープと弦楽のための舞曲「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」
ハープの製作会社から依頼を受けたドビュッシーが1900年に作曲した作品。
当時、新たに開発され1896年に発表されたクロマティックハープのために書かれた作品である。クロマティックハープとは、78本の弦を張ってペダルなしで半音階を演奏できるようにしたものである。同じ頃、このライバル会社がペダル式のハープのための作品をラヴェルに依頼し、翌年の1905年に「序奏とアレグロ」が作曲されている。まさにハープ対決といった状況であったが、そこからハープの美しい名曲が2つ生まれたわけである。
なお、半音階の弦を張ったクロマティックハープは結局実用的ではなく、その後ペダル式のハープが主流となっていった。今日では一般的にはドビュッシーの作品もペダル式のハープで演奏されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送
管弦楽曲
牧神の午後への前奏曲
先述したように、ドビュッシーはマラルメの詩「牧神の午後」に触発され、1894年、32歳の時に管弦楽曲「牧神の午後への前奏曲」を発表した。
発表当初から音楽界に強い衝撃を与えた。フルートの神秘的な旋律に導かれ始まるこの曲は今日20世紀の新しい音楽の幕開けを告げる重要な作品に位置付けられている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドビュッシーの二つのアラベスク 他』 2022/10/24放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽フォーレの組曲「ペレアスとメリザンド」他』 2022/07/05放送
夜想曲
「牧神の午後への前奏曲」が成功し、期待の若手作曲家として歩み始めたドビュッシーは次々と意欲的な作品を生み出していき、1899年には管弦楽曲「夜想曲」が完成した。
次の3つの曲で構成される。なお、第3曲「海の精」では女性合唱(歌詞なし)が銀色の波の間から聞こえてくる海の精の歌のように神秘的に響き渡る。
- 雲
- 祭り
- 海の精
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドビュッシーの二つのアラベスク 他』 2022/10/24放送
交響詩「海」
1903年、ブルゴーニュ地方のビシャンという村で、交響詩「海」の作曲に取りかかった。翌年、のちに妻となるエンマとジャージー島で夏を過ごす。フランスとイギリスを隔てる海峡にあるジャージー島での滞在中、ドビュッシーは出版社にあてて滞在中のホテルから見える海の美しさを語っている。しかし、この滞在では交響詩「海」は完成せず、さらにフランス北部ノルマンディー地方の港町ディエップで作曲を進めた。完成したのは1905年。 全3曲で構成されている。演奏の難しさから初演は失敗に終わり、1908年、ドビュッシー自身が指揮台に立った再演でようやく評価を得ることができた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第5番』 2023/1/25放送
協奏曲
ピアノと管弦楽のための幻想曲
ドビュッシーが生涯に残した唯一のピアノとオーケストラのための作品。若いドビュッシーのみずみずしい色彩感に溢れた作品である。
ドビュッシーが若い頃、フランスの芸術家の登竜門ローマ大賞を受賞してローマに留学した際に書かれた留学作品の最後の曲として作曲された。ドビュッシーが27歳の頃に2つの楽章からなる作品として完成したが、初演の演奏会のための練習の前に突然ドビュッシーが行方をくらまし、ドビュッシーの生前にこの曲が演奏されることはなかった。
ドビュッシーが世を去った翌年1919年にアルフレッド・コルトーのピアノで初演され、その後楽譜も出版された。そして、20世紀後半には指揮者で放送局のプロデューサーなどもつとめたアンドレ・ジューヴによる改訂版の楽譜も出版された。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのルーマニア民俗舞曲』 2023/7/27放送
バレエ音楽
おもちゃ箱
ドビュッシーは43歳になる年に生まれた娘クロード・エマを「シュシュ」(キャベツちゃん)という愛称で呼び、かわいがったが、この曲は愛する娘シュシュに寄せる想いから、広く子供たちに向けた作品の1つ。 おもちゃ箱の中の人形の世界を音楽で書いた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 冬のぽかぽかクラシック(1)』 2022/12/19放送
遊戯
この曲はドビュッシーが50歳の頃、1912年から翌年にかけて作曲された。
当時、パリで興行を行い一世を風靡していたロシア・バレエ団バレエ・リュスの主催者セルゲイ・ディアギレフから依頼を受けて書かれた。
3人の登場人物の繊細な心の動きがドビュッシーの円熟した手法による音楽で生き生きと描き出されている。
バレエの初演は1913年5月15日にパリのシャンゼリゼ劇場で行われた。なお、その2週間後には同じ舞台で斬新な演出と音楽で当時の人々に大きな衝撃を与えたストラヴィンスキーの「春の祭典」が初演されている。
NHK-FM(東京) 『フランス音楽の名曲(4)ベルリオーズとケックラン - ベストオブクラシック - NHK』 2024/5/23放送
歌曲
パンの笛
フルート独奏のための作品。神秘的な響きに包まれた1曲。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」』 2023/3/27放送
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