[歴史②]世界史

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フランス―クープラン


クープラン

クープランの生涯・経歴

クープラン(1668 - 1733)はフランスの後期バロック時代の作曲家、クラヴサン・オルガン奏者である。

1668年にパリで音楽家一族の1人として生まれた。
幼少時より父から音楽を学んだ。

小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

ソナタの作曲

1690年には初めての曲集である「2つのオルガンミサ」を出版した。
その後、当時パリで人気となっていたイタリアのトリオソナタ、中でもコレッリのソナタに魅せられ、その書法を身につけようと次々とソナタの作曲を試み、それらはやがて「王宮のコンセール」、「趣味の融合」、2つのアポテオーズ、「諸国の人々」という後に出版される曲集の基礎となった。

小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

オルガニスト・教師

優れた鍵盤楽器奏者となったクープランはパリのサン・ジェルヴェ教会のオルガニストとして活躍し、1693年にはベルサイユ宮殿の王室礼拝堂の4人のオルガン奏者の1人に選ばれた。
また、翌年からは王室や宮廷の子女に音楽を教え、また宮廷内の演奏会でクラヴサン(チェンバロ)を演奏した。

小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

作曲活動

1713年から30年にかけては、彼の主要な創作のジャンルであるクラブサン曲(4冊のクラヴサン曲集など)と室内楽曲を次々に出版した。
また、充実した声楽曲も残している。
こうしてクープランは作曲についても当時のフランスを代表する音楽家の1人となった。

小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

クープランの音楽史における位置づけ

フランスの後期バロックの代表的作曲家

クープランはフランスの古典期、後期バロック時代を代表する作曲家で、ヘンデルバッハなどに影響を与えた。

NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(2)』 2022/5/24放送。小学館 『日本国語大辞典』

クープランの作品

クープランの作品の中で主要な位置を占めるのは4巻のクラヴサン曲集であり、約220曲の小品が27のオルドルと称する組曲を構成している。

フランソワ・クープラン - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/フランソワ・クープラン

また、室内楽曲もフランス音楽独自の味わいにイタリア音楽の要素も盛り込んだ大変に魅力的なものである。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

クラヴサン曲集

クラヴサン奏者としても優れていたクープランが長い時間をかけ、4巻に分けて出版した小品集で、曲の数は200曲以上にものぼる。

NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック▽イタリアの公演から4 ヒューイットが奏でるバロック鍵盤音楽』 2022/9/29放送

クラヴサン曲集 第3巻

第3巻はクープランの円熟期と言われる1722年に出版された。

NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック▽イタリアの公演から4 ヒューイットが奏でるバロック鍵盤音楽』 2022/9/29放送

第18組曲

第18組曲は7曲からなる。

NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック▽イタリアの公演から4 ヒューイットが奏でるバロック鍵盤音楽』 2022/9/29放送

その他クラヴサン曲
組曲 ヘ長調

ブランロシェ氏のトンボー

17世紀のチェンバロ、クラヴサンのための作品。ブランロシェ氏はクープランの友人だったリュート奏者と言われている。

NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽リクエスト・アラカルト』 2022/08/19放送

なお、トンボーは、フランス語で墓石や墓碑のことを指す名詞であり、音楽用語としては故人を追悼する器楽曲の意味で使われた。

トンボー (音楽) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/トンボー (音楽)

オルガン曲
「教区のためのミサ曲」から 奉献唱

フランス古典期のオルガン音楽において、全曲の頂点を形作るのが奉献唱で、ここはオルガン独奏のためミサの言葉から独立して作曲家が手腕を発揮できる部分である。クープランの奉献唱は3部分からなる。

NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(2)』 2022/5/24放送

室内楽曲
ソナタ

クープランは1690年に初めての曲集である「2つのオルガンミサ」を出版した後、当時パリで人気となっていたイタリアのトリオソナタ、中でもコレッリのソナタに魅せられ、その書法を身につけようと自らのソナタ作曲を試みた。
最初に書いたソナタ「乙女」に続き、次々と作曲を試み、それらはやがて「王宮のコンセール」、「趣味の融合」、2つのアポテオーズ、「諸国の人々」という後に出版される曲集の基礎となった。

NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送

ソナタ「サルタン」

1690年代前半に書かれた最初期のソナタの1つ。
当時、クープランが書いたソナタはいずれもイタリアの作品をモデルとしたトリオソナタであったが、この曲はイタリアのソナタ書法の模倣に止まらず、独自の作風を模索するクープランの姿勢が伺える。全体は緩急緩急の教会ソナタを拡張した構成をとっている。

NHK-FM(東京) 『古楽の楽しみ ▽フランソワ・クープランの初期作品(3)』 2022/5/25放送

王宮のコンセール(合奏曲)

フランス宮廷で演奏されたコンセール、つまり、合奏曲を集めた曲集。
1722年に出版した。全4曲。独立して出版された曲集ではなく、1722年に出版されたクラヴサン曲集第3巻の一部として公にされた。
フランス宮廷ではルイ14世の晩年に国王のための小さな室内楽の演奏会が開かれていた。クープランはこの演奏会のためのコンセール、つまり合奏曲を作曲した。そしてそれらの中から4曲を選りすぐり、「王宮のコンセール」として出版した。
作品の序文にも、この曲集はルイ14世が晩年に毎週のように日曜日に開催していた小さな室内楽のコンサートのために書かれた曲を集めたものであると記されている。
晩年のルイ14世は国王としての苦労に加えて、自らの健康の問題を抱え、また子どもや孫、ひ孫に相次いで先立たれるなど個人的な不幸にも悩まされていた。クープランの作曲するコンセールはそうしたルイ14世の慰めとなった。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

大部分の曲は旋律声部と和声の概要を示す数字の振られた通奏低音声部の2声部で書かれている。
基本的に演奏楽器は定められておらず、クラヴサン1台で独奏曲として演奏することも可能で楽器の選択が演奏者に委ねられている。

ト長調の第1番からニ長調、イ長調と曲が進むにつれ、調が5度ずつ上る形で構成されている。最後の第4番はホ短調で書かれていて、やはり第3番から5度上っているが、曲集の中で唯一短調の曲で始まる。しかし、最終的にはホ長調に転じて締めくくられる。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(1) - 古楽の楽しみ』 2024/10/7放送

新しいコンセール集(趣味の融合)

クープランは「王宮のコンセール」の序文で「この曲集が人々の趣味に合うようであれば、まだ手持ちの曲が十分にあるので続編を出す」と述べている。
実際にクープランは1724年に「新しいコンセール集」を出版した。ルイ14世のために作曲された合奏組曲「王宮のコンセール」の続編に当たり、「趣味の融合」とも呼ばれる。
「趣味の融合」とはイタリア趣味とフランス趣味の融合を試みたもので、コンセール・スピリチュエルが始まる前年1724年にパリで出版された。イタリア音楽に魅せられたクープランは曲集の序文でもこの理念を掲げている。なお、クープランが想定するイタリア趣味とはコレッリに代表される器楽曲を意味していた。
この曲集にはコンセールが第5番から第14番まで10曲収録されている。収録されている曲の大部分は、旋律声部と通奏低音声部の2声部で構成される。基本的に演奏楽器は特定されておらず、演奏者の好みに合わせて楽器が組み合わされる。

NHK-FM(東京) 『コンセール・スピリチュエルを彩った音楽家たち(4) - 古楽の楽しみ - NHK』 2024/9/12放送。NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

コンセール第8番 ト長調「劇場風の合奏曲」

室内楽ではあるが「劇場風」と題された華やかな曲。クープランは歌劇を残していないが、もし歌劇を書いたのならこんな音楽になったのではないかと想像させてくれる曲。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

コンセール第9番 ホ長調

第9番は8曲からなるコンセール。イタリア語で「愛の肖像」という題がつけられている。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

コンセール第13番 ト長調

このコンセールは低音楽器の二重奏のために書かれている。全4曲。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

コンセール第14番 ニ短調

4曲で構成されたコンセール。各曲名がフランス語で綴られ、フランス風の優美な装飾音もふんだんに用いられているが、一方で緩徐楽章と急速楽章が交代するイタリアの4楽章構成のソナタに似た構成を取るなど趣味の融合が実現している。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(2) - 古楽の楽しみ』 2024/10/8放送

諸国の人々

1726年に出版した室内楽曲集で、3声で書かれた4つの組曲によって構成される。
この曲集では各組曲の題として様々な地域の人々が挙げられていて、具体的には第1組曲から順にフランス人、スペイン人、神聖ローマ帝国人、ピエモンテ人と題されている。
それぞれの組曲の冒頭には長大なソナードが置かれ、その後にアルマンドサラバンドといった舞曲組曲風に続く。
ソナードとはイタリアから来た器楽ジャンルであるソナタをフランス風に呼んだものである。クープランは「新しいコンセール集」と同じく、フランス音楽とイタリア音楽の融合を理念として掲げていた。特にコレッリのソナタに魅せられたクープランはソナタをフランス風にアレンジしたソナードを作曲することで趣味の融合を実現させた。「諸国の人々」の各組曲が冒頭にソナードを置き、その後に舞曲を並べたフランスの組曲風の構成を取る点にも趣味の融合という理念が感じられる。
なお、4つの組曲の冒頭に置かれたソナードは本来は全く異なるタイトルで書かれている。たとえば、フランス人のソナードは元々は「少女」と題されたもので「諸国の人々」が出版される30年以上前にはすでに作曲されていたと推測されている。
このように、かつて異なったタイトルで書いた曲に手を加え、さらに多数の舞曲を連ねて出版したのが「諸国の人々」になるので、各組曲のタイトルについては、それぞれの地域の人々の性格を忠実に反映したとか、各地域の音楽を取り入れたということではない。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(3) - 古楽の楽しみ』 2024/10/9放送

第1組曲「フランス人」

第2組曲「スペイン人」

第2組曲の「スペイン人」のソナードは元々は「幻影を見る人」という題で、若き日のクープランが作曲したものである。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(3) - 古楽の楽しみ』 2024/10/9放送

第3組曲「神聖ローマ帝国人」

第4組曲「ピエモンテ人」

第1組曲の原曲「少女」が成功を収めたことに自信を得たクープランはイタリアのソナタ風の曲をさらに手掛けていく。その中から生まれた「アストレ」という曲が後に編曲されて第4組曲「ピエモンテ人」のソナードとなった。
なお、ピエモンテは現在のイタリア北西部にあたり、フランスと接する地域。歴史的にはサヴォイア家の領地で1720年にサヴォイア家がサルデーニャ王国の王位を得たため、それ以後はサルデーニャ王国の一部となった。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(3) - 古楽の楽しみ』 2024/10/9放送

ヴィオール曲集

曲集の出版は1728年。この曲集には組曲が2曲収められている。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(4) - 古楽の楽しみ』 2024/10/10放送

第1組曲

組曲第1番は前奏曲の後に様々な舞曲が続く典型的なフランスの組曲。構成の点では初期のクラヴサン曲集に似ている。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(4) - 古楽の楽しみ』 2024/10/10放送

第2組曲

組曲第1番が典型的なフランスの組曲であるのに対し、組曲第2番は4つの曲で構成され、ゆっくりとしたテンポの曲と早いテンポの曲が交互に現れる点でイタリアの教会ソナタに似ている。

NHK-FM(東京) 『フランソワ・クープランの室内楽(4) - 古楽の楽しみ』 2024/10/10放送



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