6人組―プーランク
プーランク
プーランクの生涯・経歴
プーランク(1899-1963)は、20世紀前半に活躍したフランスの作曲家である。
小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽プーランクのオルガン協奏曲 他』 2022/9/28放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送
1899年にパリの裕福で信仰心の篤い家庭に生まれた。
父は教育熱心で、母は様々な芸術に親しんでいた。母は特にピアノをひくことが好きで、バッハやモーツァルトからおそらくはシャンソンや流行歌まで楽しんで演奏したという。育った家の環境が影響しているのか、プーランクの作品は洗練され、信仰心と遊び心が共にあると評されることもある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽プーランクのオルガン協奏曲 他』 2022/9/28放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのセレナード変ロ長調』 2023/10/11放送
幼い頃から音楽の才能を発揮し、ピアニストの母親に5歳でピアノを習い始めたが、製薬会社を営んでいた父は音楽の道に進ませる気はなかった。
しかし、専門教育は受けなかったものの15歳から名ピアニスト、リカルド・ビニェスに弟子入りしてピアノのレッスンを受けた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベートーベンの交響曲第6番「田園」 他』 2022/10/18放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスのピアノ協奏曲第5番』 2023/1/30放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
そして、ビニェスを通じてサティ、ミヨー、オネゲルなどと知り合い、同時代の作曲家と親交を深めるようになり、その影響を受けた。特に同じ年だったオーリックとは親友になり、後にフランス6人組のメンバーになった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスのピアノ協奏曲第5番』 2023/1/30放送。小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
1917年18歳のときに作曲家としてデビューするが、翌年兵役に就き、軍隊で3年間を過ごした。そして、除隊してパリに戻ると活動を再開した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
すぐにプーランクは注目を浴び、20世紀のフランス音楽の中心で活躍の場を広げていく。
1920年代に入るとバレエ音楽「牝鹿(めじか)」(1923)が大成功を収めたほか、ユニークな楽器の組み合わせや作風が評判を呼び、プーランクは国際的に評価されるようになっていく。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽プーランクのオルガン協奏曲 他』 2022/9/28放送
他の音楽家との関係
モンポウ
モンポウとは友人である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送
プーランクの音楽史における位置づけ
6人組
プーランクは第1次大戦後パリで結成された作曲家集団「6人組」の1人である。
プーランクの意義・評価
プーランクは20世紀前半の最も偉大なフランスの作曲家の1人とも言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベートーベンの交響曲第6番「田園」 他』 2022/10/18放送
プーランクの作品
作風
プーランクは当時最先端だった無調や実験的な音楽とは距離を置いていた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送
単純さや明晰さを重んじたサティや、新古典主義者ストラヴィンスキーなどの影響の下に、真のフランス的伝統に立脚した音楽の創造を目ざした。
小学館 『日本大百科全書』
また、優れたピアニストとして演奏や録音活動も行った。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベートーベンの交響曲第6番「田園」 他』 2022/10/18放送
調性を持ち、軽快なユーモアや美しい旋律に満ちたプーランクの作品は戦前戦後を通じて常に人気を博した。どこか懐かしさを誘う古典的な響きと新しい20世紀の響きを融合させた独特のスタイルで、ときにはパリのユーモアやエスプリを感じさせ、ときには神聖な美しいハーモニーを描き出した作曲家である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調 他』 2022/9/22放送
バレエ音楽
牝鹿(めじか)
1923年ロシア・バレエ団を率いていたディアギレフからバレエの作曲を依頼され作曲した。
プーランクはサロンで若い女性たちが踊る筋書きを持たないバレエを考えた。そして、18世紀に書かれた愛の詩を合唱曲にしてバレエに挿入している。
舞台美術と衣装は画家のローランサンが手掛けた。1924年1月にモンテカルロで初演されると好評を博し、プーランクの代表作となった。
バレエから抜粋した組曲で演奏されることが多い。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ プーランクのバレエ音楽「めじか」』 2024/2/7放送
管弦楽曲
シンフォニエッタ
1947年48歳のプーランクはイギリスの放送局BBCから第三ラジオの開局1周年を祝う作品を依頼された。友人の作曲家ミヨーにあてた手紙で、その作品を作曲しながら充実した日々を送っていると書いている。そして完成したのが4楽章からなるシンフォニエッタであった。シンフォニエッタとは小さな交響曲という意味である。プーランクは当初、交響曲としたかったようであるが、出版社の意向でシンフォニエッタになった。プランクらしいユーモアと表情に溢れた作品で、初演は1948年ラジオ放送で行われた。
また、プーランクは、この年アメリカ演奏旅行に出かけ、大きな成功を収めている。シンフォニエッタの初演が好評だったこともアメリカで知った。
第2次世界大戦後、前衛的な音楽が主流になる中、親しみやすいシンフォニエッタは今にいたるまで人気の高い作品である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヨハン・シュトラウスのワルツ「春の声」』 2023/5/18放送
協奏曲
2台のピアノのための協奏曲 ニ短調
1932年に作曲された2台のピアノと管弦楽のための作品。初演は同年9月。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスのピアノ協奏曲第5番』 2023/1/30放送
プーランクが様々な鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲のうち3作目にあたる。
2台のピアノのための協奏曲 (プーランク) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/2台のピアノのための協奏曲 (プーランク)
ピアノ協奏曲 嬰ハ短調
古典的な3つの楽章で構成される。
1948年の秋、バリトン歌手のピエール・ベルナックともにアメリカに演奏旅行に出かけた際、ボストン交響楽団から作品を依頼されたことがきっかけで作られた。
最終楽章ではブラジル起源のダンス曲やフランスの古いシャンソンに由来する黒人霊歌などが大胆に混ぜ合わされ、楽しい雰囲気が生み出されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベートーベンの交響曲第6番「田園」 他』 2022/10/18放送
室内楽曲
プーランクは室内楽では特に管楽器の音色に愛着を持っていたようで、管楽器のために様々な編成の作品を残しいる。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのセレナード変ロ長調』 2023/10/11放送
2本のクラリネットのためのソナタ
1918年19歳の年に書かれ、1945年に改訂された。
3つの楽章で書かれていてしゃれたリズムにプーランクの個性が光る作品。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのセレナード変ロ長調』 2023/10/11放送
六重奏曲
木管楽器とピアノのための六重奏曲。
1932年33歳の年に一旦完成され、1939年に改訂が終わって現在の形になった。3つの楽章で書かれている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのセレナード変ロ長調』 2023/10/11放送
ヴァイオリン・ソナタ
この曲は第2次世界大戦の最中、1942年から43年にかけて書かれた。曲はスペインで内戦が起きた1936年に命を落とした詩人フェデリコ・ガルシーア・ロルカの思い出に捧げられている。作曲を依頼したのは名ヴァイオリニスト、ジネット・ヌヴーで、曲が完成した年にパリで行われた初演ではヌヴーがヴァイオリンを、そしてプーランク自身がピアノを演奏した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラヴェルの組曲「クープランの墓」』 2023/3/27放送
ホルンとピアノのためのエレジー
1957年、イギリスのホルン奏者デニス・ブレインが事故で亡くなる。その知らせにプーランクは衝撃を受けた。ピアニストでもあったプーランクはその10年ほど前にブレインと共演し、才能を認めていたからである。プーランクはブレインの思い出に捧げるためにこの作品を作曲した。エレジーとは悲しい歌のことである。
この作品には、オーストリアの作曲家シェーンベルクが提唱した12音技法を取り入れたと言われることもある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 思いを込めて(3)』 2023/7/12放送
3曲の木管楽器のためのソナタ
プーランクは晩年になって3曲の木管楽器のためのソナタを残した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送
オーボエ・ソナタ
この曲は3曲の木管楽器のためのソナタの最後に書かれた作品で、亡くなる前年の1962年に作曲された。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」他』 2022/9/7放送
ピアノ曲
15の即興曲
プーランクは1932年から59年にかけて15曲の即興曲を書いた。数あるピアノ作品の中でもプーランクのお気に入りであった。
これらの曲はジャンルを問わず様々な音楽家に献呈された。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベートーベンの交響曲第6番「田園」 他』 2022/10/18放送
15の即興曲 第15番 ハ短調 エディット・ピアフを讃えて
同時代にフランスで活躍していたシャンソン歌手エディット・ピアフを讃えて書いた曲。序奏に続いて出される主題はシャンソン『枯葉』の旋律を模したもので、キャバレーの雰囲気を醸し出している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」』 2023/5/16放送。15の即興曲 (プーランク) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/15の即興曲 (プーランク)
8つの夜想曲
19世紀に流行し、ショパンやフォーレの作品で知られるノクターンというピアノ曲のジャンルをプーランクも1932年から38年にかけて8曲を作曲した。
そのいくつかにはタイトルがつけられている。第2曲には「少女の舞踏会」、第3曲は「マリーヌの鐘」、第4曲は「幻の舞踏会」、第5曲は「しゃくとり虫」、第8曲は「曲集のコーダの役を果たすために」。特に第5曲「しゃくとり虫」はノクターンとしては珍しく速いテンポで書かれた飛び跳ねるような作品。ショパンやシューマン、またストラヴィンスキーやプロコフィエフからの影響があるともいわれている
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヨハン・シュトラウスのワルツ「春の声」』 2023/5/18放送
シテール島への船出
この曲は2台のピアノのために書かれた。
シテール島は愛の女神ヴィーナスにゆかりのある地中海の島で、この島を訪れると愛が成就すると信じられていた。18世紀、フランスで画家のヴァトーがシテール島への船出という作品を描いている。プーランクはこの島をモチーフに200年以上も前にヴァトーが傑作を描いたことを知ってこの曲を作曲した
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽プーランクのオルガン協奏曲 他』 2022/9/28放送
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