[歴史②]世界史

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北欧―シベリウス


シベリウス

シベリウスの生涯・経歴

シベリウス(1865-1957)はフィンランドの国民的作曲家で、北欧を代表する作曲家の1人である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの交響詩「フィンランディア」他』 2022/07/12放送

シベリウスは、1865年にフィンランドの首都ヘルシンキから北に100キロほど離れた町、フィンランド南部のハメーンリンナで生まれた。
当時、フィンランド全体はロシア帝国の支配下にあったが(→フィンランドの歴史)、この地はスウェーデン語圏に属していた。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、184-185項。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送

幼くして父を亡くし、その後一家は母方の祖母の家に身を寄せた。
そこにはピアノを弾く叔母がいて、シベリウスはこの伯母からピアノの手ほどきを受けた。ピアノの練習よりも即興演奏を楽しんだと言う。
早くからヴァイオリンと作曲にも才能を見せ、10歳の頃に書いた「ヴァイオリンとチェロのための水滴」は、今日シベリウスの最初の作品として知られている。
14歳で本格的にヴァイオリンを習い始めると、たちまち夢中になった。ヴァイオリニストになる夢を抱きながら演奏を続けたが、やがて作曲に打ち込むようになっていった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送

大学時代

1885年、20歳の年にヘルシンキ大学の法学部に入学するが、間もなくこの勉強を辞め、すぐにヘルシンキ音楽院に移り、作曲とヴァイオリンを学んだ。
音楽院ではヴェゲリウスに学び、また、この音楽院で教えていたブゾーニからも大きな影響を受けた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3番』 2023/5/17放送

この時期に音楽家と画家たちとグループを作り、メンバーの妹アイノと恋に落ちた。
シベリウスはスウェーデン文化の影響下で育ったが、アイノはフィン人の文化を大事にする家に育っていたので、その影響でシベリウスもフィン人民族意識に目覚めた。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、185項。

ベルリン・ウィーン留学

そして、ベルリンとウィーンに留学して研鑽を積んだ。ここではシベリウスと同世代の作曲家リヒャルト・シュトラウスの音楽に触れて影響を受ける。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3番』 2023/5/17放送

まず1889年にベルリンへ留学しワーグナーに夢中になり、指揮者でピアニストのハンス・フォン・ビューローの弾くベートーヴェンにも感動するなど、ドイツ音楽へ傾斜しかけた。
その後、ウィーンで学ぶと、ハンガリーやルーマニアから来た音楽家たちが自国の文化と音楽を尊重しているのに刺激を受け、自分もフィンランド独自の音楽を作ろうと考える。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、185-186項。

帰国

ベルリンとウィーンの留学から帰国すると、シベリウスはフィンランドの伝説や叙事詩に基づく作品を発表し始める。
フィンランド民族叙事詩「カレワラ」に基づく「クレルヴォ交響曲」の初演では大成功を収め、国民的作曲家へと歩みを進めていった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送

1892年には恋人アイノとも結婚し、ヘルシンキ音楽院の教授にもなった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3番』 2023/5/17放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、186項。

ロシア帝国の支配下にあったフィンランドではニコライ二世の圧政により自由が次々に奪われていった。
そして、独立を願う人々の間で、愛国的な運動が激しく高まっていた。
こうした運動の1つとして、ヘルシンキの新聞関係者たちがロシアによるフィンランドの出版検閲の強化に反対し、集会を開いた。この集会で愛国的な内容の劇「歴史的情景」が上演されることになり、シベリウスはその劇の音楽を担当した。
この劇の初演は1899年にヘルシンキのスウェーデン劇場で上演されたが、その後、シベリウスは、この劇音楽から、シベリウスの作品の中でも特に大きな成功を収めて今でも頻繁に演奏されている交響詩「フィンランディア」を編み出した。
この曲は次第に独立と自立のための象徴的存在となっていき、今でも自由なフィンランドを象徴する音楽として特別な存在となっている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの交響詩「フィンランディア」他』 2022/07/12放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、186項。

1903年には家族と共にヘルシンキから北へ40キロほど離れたヤルヴェンパーに移り住んだ。
豊かな自然の中に山小屋風の家を建て、ここで作曲を続けた。
第3番から第7番の交響曲のほか、多くの作品を生み出し、1957年に91歳で亡くなるまでこの地で過ごした。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送

1907年の初め41歳のシベリウスは再びヘルシンキにて暴飲暴食を重ね、妻はその心労が原因で入院してしまう。
自分の行いを恥じたシベリウスは妻が入院している間、節制に努め、交響曲第3番の作曲に力を注いだ。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3』 2023/5/17放送。ジャン・シベリウス - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャン・シベリウス

また、1907年にシベリウスは体調を崩した。そして、翌年、喉の腫瘍と診察され、同年5月に手術を受けた。このことがきっかけとなって、自分の心の内をより深く見つめるようになっていく。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送。交響曲第4番 (シベリウス) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/交響曲第4番 (シベリウス)

作曲活動は1920年代で終え、1924年に「交響曲第7番」、1925年に「タピオラ」を書くと、以後も作品は書くが、それらはめったに演奏されない。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、186-187項。

1957年に脳出血のため91歳で亡くなった。国葬が営まれ、さらにシベリウスの肖像画はフィンランドの紙幣にも使われた。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、187項。

シベリウスの作品

作風
管弦楽曲

シベリウスは交響曲をはじめとするオーケストラの作品でよく知られている。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲第7番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/5/29放送

ヴァイオリン

シベリウスは楽器の中で特にヴァイオリンを愛した。10代でヴァイオリンと出会って夢中になり、家族や友人等演奏を楽しんだり、室内楽の作品をいくつも作曲したりした。その後、シベリウスの興味はオーケストラへ移り、「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47」など音楽史に残る傑作を生み出していった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送

交響曲

シベリウスの作品の主軸をなすのは7曲の交響曲である。

ジャン・シベリウス - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャン・シベリウス

交響曲 第2番 ニ長調 作品43

シベリウスは1901年の冬にイタリア北西部の海沿いの都市ラパッロを訪れた。そして山の中に小さな小屋を借りて2番目の交響曲のことを考え始めた。
当時、季節は冬であったが、南国のラパッロでは植物が生い茂っていた。シベリウスの故郷フィンランドでは冬は長く厳しい寒さが続く。そんなフィンランドからやってきたシベリウスにとってラパッロは「魔法にかけられた国」と映った。
その後、シベリウスはフィレンツェやローマへも足を伸ばし、オペラや宗教曲など様々なイタリアの音楽文化を堪能した。
交響曲第2番の作曲はフィンランドへ帰国してからも続けられ、1902年に初演されると大きな成功を収めた。作品の第2楽章中盤で、厳かで慰めに満ちた旋律が弦楽器から始まってオーケストラ全体に広がっていくが、これはシベリウスがフィレンツェで得たキリストのイメージとも言われている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの交響曲第2番 他』 2022/9/14放送

交響曲 第3番 ハ長調 作品52

全部で3楽章、シベリウスが自分の作風を確立したとされる代表作の1つ
先述したように1907年の初め41歳のシベリウスは暴飲暴食を重ね、妻はその心労が原因で入院してしまう。自分の行いを恥じたシベリウスは妻が入院している間、節制に努め、交響曲第3番の作曲に力を注いだ。この交響曲はその年の夏に完成し、秋の初演まで手を入れ続けた。初演の1カ月後、シベリウスはヘルシンキを訪れた作曲家マーラーに会う。2人は新しい交響曲を書くたびに聴衆が離れていくと言って意見が一致したが、交響曲は世界を全て含むような音楽でなければならないというマーラーの意見には賛成しなかった。シベリウスは交響曲に厳格で深い論理を求めた。そして交響曲第3番ではより古典的で簡潔なスタイルに近づいている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3』 2023/5/17放送

交響曲 第4番 イ短調 作品63

1908年、前年から体調の不調を訴えていたシベリウスは喉の腫瘍と診察され、同年5月に手術を受け、初めて死を身近に感じるようになった。そうした中、シベリウスはフィンランド南東部のコリへ出かけ、そこに広がる雄大な自然に魅了される。この時の感動はよほど大きなものだったようで、コリへの旅の翌年にシベリウスは交響曲第4番のスケッチを始め、1911年に完成した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送。交響曲第4番 (シベリウス) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/交響曲第4番 (シベリウス)

この作品は冒頭に不気味な音型が置かれ、不安に満ちて始まる。しかし、やがて光が差し込むように明るい響きが聞こえてくる。4楽章からなり、病と闘う日々の中で生きる喜びを見出したシベリウスの心境が感じられる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送

交響曲 第5番 変ホ長調 作品82

フィンランドの国民的作曲家になっていたシベリウスは、1915年にフィンランド政府の主催で50歳を祝う演奏会が開かれることになった。そのために新作の交響曲を書くことになるが、それが交響曲第5番である。
作曲に取りかかった4月シベリウスは大きなインスピレーションを受ける出来事を体験し、感動を込めて日記に記している。それは16羽の白鳥が飛び立ち、霞のかかった光の中へ飛び去っていく情景であった。この体験から第3楽章の主題が浮かんだという。
その年の5月には孫も生まれ、家庭的には幸せであったが、第1次世界大戦の影響で収入が減り、歌曲やピアノ曲の作曲に時間を取られてしまう。しかし、秋には、これから登りつめる山の頂がようやく見え始めたと日記に記し、作曲を進めていく。そして、12月8日誕生日当日に開かれた演奏会で、シベリウスは交響曲第5番を指揮し、大きな成功を収めた。しかし、作品の出来に満足せず、その後も改訂を繰り返し現在の形になった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第5番』 2023/1/25放送

交響曲 第7番 ハ長調 作品105

シベリウスの最後の交響曲
交響曲第5番を作曲する1915年ごろに最初のアイデアが浮かんだと言われている。しかし、作品が完成するまでにはおよそ10年の歳月が必要で、完成したのは1924年3月。その3週間後に初演を迎えた。
楽章の区別がない単一楽章による交響曲のため、「交響的幻想曲」というタイトルで初演された。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲第7番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/5/29放送

交響詩
交響詩「夜の旅と日の出」作品55

1909年にサンクトペテルブルクで初演された作品。
夜の闇を馬に乗ってひたすら走り続ける騎士。やがて鳥の声に導かれ、朝日が昇り夜明けを迎える。その情景がシベリウスの巧みなオーケストラの手法によって描かれている。

NHK-FM(東京) 『音楽界の二刀流(2)マリン・ブロマン - ベストオブクラシック』 2024/9/25放送

シベリウスの交響詩には珍しく、文学的・民族的・神話的な題材に依拠しておらず、明確な標題を持たない。
闇夜の林を独り騎馬で駆け抜けていく普通の人の、内面的な(個人的で霊的な)経験が表現されているという。

夜の騎行と日の出 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/夜の騎行と日の出

協奏曲
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47

ヴァイオリンを独奏楽器とする本作がシベリウスによる唯一の協奏曲である。全3楽章。

ヴァイオリン協奏曲 (シベリウス) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァイオリン協奏曲 (シベリウス)

1903年の作品。翌年ヘルシンキで初演の後に改訂を行ない、1905年にベルリンで改めて初演した。これが今日伝わる決定稿である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの「バイオリン協奏曲」他』 2022/08/15放送

4つのユモレスク 作品89

1917年夏に作曲。
1917年はフィンランドが大きな変革を遂げた年であった。フィンランドを支配していたロシアで革命が起こり、フィンランドは独立を果たした。シベリウスは第6交響曲や第7交響曲のような新しい大きな仕事に取り掛かろうとしていたが、混乱する状況下で作曲に集中できず着手できなかった。その代わりに残したのがいくつもの小品。この作品もその1つ。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの組曲「カレリア」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/11/30放送

管弦楽曲
交響詩

フィンランディア

タピオラ

交響詩「タピオラ」は61歳になる1926年に完成した作品で、シベリウスの創作活動のほとんどおしまいに当たる。
なお、題名のタピオラとは森の神タピオの住むところという意味である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送

組曲

組曲「カレリア」作品11

現在でも演奏される機会が多いシベリウスの初期の代表作。

1892年に結婚したシベリウスは新婚旅行でフィンランドのカレリア地方を訪れた。その翌年、ヘルシンキ大学で上演される野外劇の音楽を依頼される。その題材はカレリア地方の歴史を描いたものであった。11月に行われた初演ではシベリウスが指揮台に立ったが、舞台の評価は散々なもので、その音楽を聴いている人はほとんどいなかったという証言が残されている。
シベリウスは序曲のほかに劇中の8曲を組曲にして演奏会で取り上げ、出版する時に「間奏曲」「バラード」「行進曲風に」の3曲に絞った。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第3番』 2023/5/17放送

組曲「恋人」作品14

シベリウスは1894年に「恋人」というタイトルの男性合唱曲集を書いている。これはフィンランドに伝わる叙情詩に基づく作品で、ヘルシンキ大学の合唱団が主催するコンクールで第2位を受賞した。その後、1911年から12年にかけてシベリウスはこの曲集を弦楽合奏とティンパニ、トライアングルのための組曲として編曲した。
全体は3つの曲で構成されていて、それぞれタイトルが付いている。
シベリウスはこの組曲を一度完成させ、出版社に入稿した後ですぐにそれを取り下げている。そして新しいバージョンを作り直した。現在、一般的に演奏会で取り上げられているのはこの改訂版である。

NHK-FM(東京) 『北欧のオーケストラ(3)フィンランド放送交響楽団 - ベストオブクラシック』 2024/10/29放送

その他の管弦楽曲

悲しいワルツ(悲しきワルツ

1903年、シベリウスは義理の兄ヤルネフェルトの戯曲クオレマに6曲の付随音楽を作曲した。
「悲しいワルツ」はその第1曲目の音楽が元になっている。シベリウスはこの劇付随音楽を何度かまとめ直しているが最も人気を得たのは「悲しいワルツ」であった。今でも演奏会のアンコールなどで好んで演奏されている。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲第7番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/5/29放送

付随音楽
クリスティアン2世

1898年に作曲され、ヘルシンキのスウェーデン劇場でシベリウス自身の指揮で初演された。
クリスティアン2世は16世紀前半にスカンジナビア諸国を収めた国王の名前。彼の波乱に満ちた生涯、ある平民の女性への愛、彼が起こした凄惨な出来事は劇や小説の題材になった。
なお、シベリウスはこの付随音楽から5曲を選んで組曲も仕立てている。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲 第2番 から - 音楽の泉 - NHK 』 2023/6/4放送。クリスティアン2世 (シベリウス) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/クリスティアン2世 (シベリウス)

弦楽合奏曲
アンダンテ・フェスティーヴォ

シベリウス自身も好んで指揮をした弦楽とティンパニのための名曲。タイトルは祝祭的なアンダンテという意味である。曲は1922年にフィンランドにある工場の25周年のお祝いのパーティーのために作曲された。
当初は弦楽四重奏曲として書かれたが、1930年代にティンパニを含む弦楽合奏の形に編曲された。今では編曲版がよく知られている。
豪華絢爛な音楽ではなく、フィンランドの自然豊かな風景を表したような穏やかで優しい作品。祈りの音楽のような神秘的な雰囲気も感じさせる。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲 第2番 から - 音楽の泉 - NHK 』 2023/6/4放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 ストリングスに魅せられて(1)』 2023/11/13放送

室内楽曲
弦楽四重奏曲 ニ短調「親しい声」

シベリウスは1907年に体調を崩し、自分の心の内をより深く見つめるようになっていくが、この曲は1909年、44歳の年に作曲された。「親しい声」という副題は第1楽章の冒頭に置かれたヴァイオリンとチェロの掛け合いから来ている。内面のあたたかさや真心といったものが感じられる作品。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送

ピアノ曲

シベリウスは、管弦楽や室内楽のための作品だけでなく、ピアノのための優れた作品も残している。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの交響詩「フィンランディア」他』 2022/07/12放送

10の小品 作品24

10曲のピアノ小品からなる作品。30歳の頃、1894年から30台後半までのおよそ10年をかけて完成された。この間に交響詩「フィンランディア」が大きな成功を収めるなど作品24の作曲はシベリウスが祖国を代表する作曲家となっていた時期と重なる。
特に第9「ロマンス」は単独で取り上げられることも多い作品である。儚い雰囲気で始まり、中盤で力強い意志や情熱を感じさせて穏やかに終わる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シベリウスの交響曲第4番 他』 2022/11/9放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ニルセン交響曲第5番』 2023/6/19放送

5つの小品 作品75

この曲は、1914年、シベリウスが50歳になる年に作曲されたピアノ曲。この作品は5つの曲1つ1つにフィンランドでよく見られる樹木の名前がつけられていて、「樹木の組曲」とも呼ばれている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シベリウスの交響詩「フィンランディア」他』 2022/07/12放送

5つの小品 作品85

花を題材にしたピアノの組曲。「5つの小品 作品75」よりも明るく軽やかな音楽で構成されている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ベルワルド交響曲第3番「風変わりな交響曲」』 2023/1/23放送

バイオリンとピアノのための小品

シベリウスはバイオリンとピアノのための小品を数多く作曲している。シベリウス自身バイオリニストになろうと考えていたほど優れた演奏者であった。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲第7番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/5/29放送

6つの小品 作品79

この作品は1915年49歳の時に作曲された。それぞれにはタイトルが付けられている。いずれも親しみやすい旋律に満ちた小品集。

NHK-FM(東京) 『シベリウスの交響曲第7番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/5/29放送



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