マーラー
マーラー
マーラーの生涯・経歴
マーラー(1860-1911)は19世紀後半から20世紀初頭にかけて主にオーストリアのウィーンで世界的な指揮者としても活躍した作曲家である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヨハン・シュトラウスのワルツ「春の声」』 2023/5/18放送。グスタフ・マーラー - Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/グスタフ・マーラー。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、209項。
1860年に当時はオーストリア領だったボヘミアで、ユダヤ人実業家の子として生まれた。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、209-210項。
音楽監督・交響曲作曲家として活躍
1888年、28歳でブダペストのハンガリー王立歌劇場の音楽監督に就任した。
この年には交響曲第1番を作曲し、この頃、交響曲第2番にも着手している。
音楽監督の仕事は順調に進んだが、私生活では悲しい出来事が続き、両親や兄弟が立て続けに死去し、その翌年に拠点をハンブルクに移すとそこで世話になったハンス・フォン・ビューローもなくなってしまう。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ マーラーの交響曲第2番「復活」』 2023/12/11放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、210項。
指揮者として活躍
マーラーは指揮者としても活躍し、1891年30歳のときにハンブルク歌劇場の指揮者に就任した。オペラの舞台を数多く指揮し、忙しい毎日を過ごした。
NHK-FM(東京) 『特集「大作を聴く」(1)マーラーの交響曲第3番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/7/29放送
そして、1897年、37歳になったマーラーは、ついにウィーン宮廷歌劇場の芸術監督になり、オペラの指揮者として大きな成功を収めた。
これはオペラ指揮者としては最高のポストであり、約10年にわたりその座にあった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、211項。
なお、この時期の1902年には19歳年下の若い無名の作曲家アルマと出会い、翌年結婚している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ マーラーの交響曲第5番 他』 2022/10/3放送。小学館 『日本大百科全書』
アルマは芸術的才能にあふれた女性で、クリムトとも付き合っていた。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、211項。
他の音楽家との関係
ブルックナー
1877年、ブルックナーは自身がウィーンフィルを指揮して「交響曲第3番」を初演した。この時、客席で熱心に耳を傾けていたのが、当時17歳でウィーン大学で学んでいたマーラーである。マーラーがブルックナーの講義を受けたことがきっかけで、2人の交流が生まれた。「交響曲第3番」のピアノのための編曲をマーラーに任せることにし、この編曲は1878年マーラーが18歳になる年に初めて出版された記念すべき作品となった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ブルックナーの交響曲第3番』 2023/3/15放送
マーラーの音楽史における位置づけ
ロマン主義音楽
マーラーが生まれた頃は、ワーグナーが最高傑作となる「トリスタンとイゾルデ」に取り組んでいた頃で、ロマン派の最盛期にあたる。
中川 右介 『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』 青春出版社、2006年、176項。
マーラーの意義・評価
マーラーは生きている間は、指揮者としての名声の方が高く、作曲活動は趣味でやっているように思われていた。
マーラーは「やがて私の時代が来る」と晩年に予言したと言うが、著作権が公有化されたことなどから没後半世紀の20世紀後半に予言通りにマーラーは世界的にブームとなった。
中川 右介 『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』 青春出版社、2006年、178-179項。
マーラーの作品
マーラーの作品は、交響曲と歌曲とがほとんどである。
中川 右介 『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』 青春出版社、2006年、176項。
交響曲
交響曲は作品番号が付いているものとしては9番までが完成し、10番は未完に終わっている。
中川 右介 『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』 青春出版社、2006年、176項。
なお、番号付き交響曲のうち、第2、3、4、8番は声楽が含まれる。
交響曲に声楽を加える試みはベートーヴェンが第9でした後は、メンデルスゾーンが試みたぐらいで、マーラーはそのわずかしかない前例を受けて、大きく発展させた。
中川 右介 『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』 青春出版社、2006年、176-177項。
交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」
交響曲と歌曲が密接に結びついたマーラーの作風の出発点とも呼べる作品である。全4楽章。
1884年からおよそ4年をかけて一旦完成され、その後改定が重ねられた。
ちょうどこのころ歌曲集「若き日の歌」と「さすらう若人の歌」が書かれていて、交響曲第1番も声楽を用いてこそいないものの4楽章すべてに歌曲が引用されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの交響曲第1番 ニ長調 「巨人」他』 2022/9/1放送
交響曲 第2番 ハ短調「復活」
1888年28歳でブダペスト王立歌劇場の音楽監督に就任した頃に着手された。
両親や兄弟が立て続けに死去するなど私生活で悲しい出来事が続く中で作曲が進められた。
第5楽章のアイデアがなかなか浮かばない中、ハンス・フォン・ビューローの葬儀で歌われたクロプシュトックの詩「復活」に心を奪われ、感銘を受けたマーラーは第5楽章の合唱でこの詩を用いて作品を完成させた。マーラーの死生観が表出した壮大な交響曲である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ マーラーの交響曲第2番「復活」』 2023/12/11放送
交響曲 第3番 ニ短調
先述したようにマーラーは指揮者として活躍し、1891年30歳の頃、ハンブルク歌劇場の指揮者に就任した。オペラの舞台を数多く指揮し、忙しい毎日を過ごした。
そして、1895年35歳になる年、マーラーはオペラの上演のない夏をザルツブルクのアッター湖畔の風光明媚な村シュタインバッハで過ごした。
交響曲第3番はここで作曲を始め、翌年の夏に再び訪れたこの地で完成した。
数々の打楽器を含む大規模な管弦楽、そして独唱、合唱も加わり、演奏時間は1時間40分にも及ぶ。6つの楽章からなる。
NHK-FM(東京) 『特集「大作を聴く」(1)マーラーの交響曲第3番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/7/29放送
交響曲 第4番 ト長調
全4楽章。第4楽章は声楽。
マーラーは指揮者として活躍する傍ら、1899年の夏、アルプスを望む避暑地で、交響曲第4番に取りかかった。
1901年にミュンヘンでマーラーの指揮によって初演されたが、その内容は聴衆に理解されず、雑多な音楽を寄せ集めた交響曲だという批判を浴びる。
その後、マーラーは改訂を繰り返しながら各地で演奏を続け、また、マーラーを慕う指揮者も好んで演奏会で取り上げ、やがて一般にも親しまれるようになっていった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽マーラーの「交響曲 第4番」』 2022/08/10放送
交響曲 第5番 嬰ハ短調
1901年から2年にかけて作曲された。
マーラーは40歳を過ぎたばかりで、ウィーン宮廷歌劇場の芸術監督になり、オペラの指揮者として大きな成功を収めていた時期である。また、19歳年下のアルマと出会い、結婚したのもこの時期ですぐに長女が生まれている。持病や周りからの批判に苦しむこともあったが、充実した日々の中で交響曲第5番を作曲した。
作品は5つの楽章に分かれるが、中でも知られているのが、第4楽章のアダージェットである。透明感あふれる美しいこの楽章は、妻アルマへの想いをもとに作曲されたとも言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ マーラーの交響曲第5番 他』 2022/10/3放送
交響曲 第7番 ホ短調「夜の歌」
「夜の歌」という副題を持つが、5つの楽章のうち第1から第4楽章までが夜を表すモチーフや雰囲気に結びつけられていて第5楽章は一転明るく勇ましく突き抜けるようなエネルギーに満ちている。音楽全体が長い夜を経て太陽の日差しが世界を照らすという印象も抱かせる作品。
1つ1つの楽器が繊細に巧みに取り扱われて随所に印象に残る音の演出が見られ、作曲家としての成長が感じられる。
NHK-FM(東京) 『マーラーの交響曲第7番「夜の歌」 - クラシックの庭』 2024/9/25放送
室内楽曲
ピアノ四重奏曲 断章 イ短調
マーラーが学生時代の1876年に作曲した室内楽。
ピアノ四重奏曲 (マーラー) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノ四重奏曲 (マーラー)
この頃のマーラーがすでに高度な作曲の技術を身に着けていたことを伺える作品。残念ながら残されたのは第1楽章だけだが、物悲しい雰囲気の中に美しい旋律が浮かび上がる、10代のマーラーの豊かな音楽性を味わうことができる。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ブルックナーの交響曲第3番』 2023/3/15放送
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