ロシア国民楽派―グリンカ
グリンカ
グリンカの生涯・経歴
グリンカ(1804-1857)は、ロシア国民楽派の創始者として19世紀ロシア音楽に強い影響を与え、近代ロシア音楽の礎を築いた作曲家である。
小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』 2023/12/27放送
1804年にロシア西部の都市スモレンスクの近郊で生まれた。裕福な大地主の貴族の家である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ チャイコフスキーの「眠りの森の美女」他』 2022/11/2放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、193項。
叔父が農奴たちの楽団を持っており、それを聴いて音楽に関心を持った。こうして子供の頃に地元のオーケストラに触れて音楽に親しんだが、学校で正式に音楽を学ぶことはなかった。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、193項。NHK-FM(東京) 『ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 - クラシックの庭』 2024/12/11放送
学生時代を送ったサンクトペテルブルクでは音楽を学ぶかたわら、詩人のプーシキンなどと交流を持つ。
ただし、当時のロシアには音楽院もなく専門的な教育は受けていない。貴族が音楽家になるなどあり得ない時代であった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ チャイコフスキーの「眠りの森の美女」他』 2022/11/2放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、193項。NHK-FM(東京) 『ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 - クラシックの庭』 2024/12/11放送
卒業後は20歳になる1824年に運輸局に努めて一度は公務員になった。
しかし、音楽の道に進むことを決意して5年で辞職し、ヨーロッパ各地を訪れて音楽を学んだ。
作曲技術を向上させるためにイタリアやドイツで音楽を学びなおすうちに、祖国の民謡や民族音楽への思いが強くなっていった。グリンカは作品にロシアの民族音楽を取り入れようと考えるようになる。
30歳になる1834年に帰国したのち、ロシア民謡を用いたオペラ(「皇帝に捧げた命」や「ルスランとリュドミーラ」)や管弦楽曲を作曲した。こうした姿勢はのちにチャイコフスキーをはじめ、ロシア国民学派の作曲家に大きな影響を与えた。
こうしてグリンカはロシア国民学派の先駆けとなった。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ チャイコフスキーの「眠りの森の美女」他』 2022/11/2放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』 2023/12/27放送。NHK-FM(東京) 『ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 - クラシックの庭』 2024/12/11放送
グリンカの意義・評価
ロシア国民楽派
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、193項。
他の音楽家との関係
ロシア5人組
バラキレフ
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、194項。
グリンカの作品
オペラ(歌劇)
皇帝に捧げた命
ルスランとリュドミーラ
この作品はロシアの文豪プーシキンの詩に基づいている。物語の舞台は中世のキエフ大公国。この作品の序曲は華やかで人気が高く、現在もよく演奏されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』 2023/12/27放送
室内楽曲
ヴィオラ・ソナタ ニ短調
まだグリンカが公務員をしていた1825年から28年にかけて作曲された初期の作品。
ビオラの響きが生かされた哀愁漂う第1楽章、そして穏やかな旋律が美しい第2楽章の全2楽章。第2楽章は未完成のままであったが、20世紀のヴィオラ奏者ボリソフスキーが補い、完成した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ チャイコフスキーの「眠りの森の美女」他』 2022/11/2放送
悲愴三重奏曲
1832年28歳になる年に書いた作品。
出版譜の表紙には失恋の痛みを思わせるフランス語が載せられていて、若かりし頃のグリンカのほろ苦い体験に基づいて書かれたことが伺われる。
なお、原曲はピアノ、クラリネット、ファゴットの三重奏のために書かれたが、出版された楽譜にはピアノ、バイオリン、チェロによる演奏も可能である旨が記されている。
NHK-FM(東京) 『特集「巨匠たちの庭」(2)ダヴィッド・オイストラフ - クラシックの庭 - NHK』 2024/7/23放送
ピアノ曲
幻想的ワルツ
この作品は1839年35歳の年に作曲された。
当時、私生活がうまくいっていなかったグリンカはある女性に心を寄せるようになった。このワルツは彼女に献呈された作品で、元々はピアノのために作曲された。
その後、管弦楽曲用に編曲している。
NHK-FM(東京) 『ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 - クラシックの庭』 2024/12/11放送
歌曲
サンクト・ペテルブルグとの別れ
12曲からなるグリンカの歌曲集。
第10曲「ひばり」はバラキレフ編曲によるピアノ独奏版がある。グリンカの弟子でピアニストでもあったバラキレフがこの歌曲を高度なテクニックを伴った華やかなピアノ曲に編曲した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ボロディンの弦楽四重奏曲第2番』 2023/12/25放送
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