[歴史②]世界史

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チェコ国民楽派―スメタナ


スメタナ

スメタナの生涯・経歴

スメタナ(1824-1884)は19世紀チェコの作曲家である。オーストリアの作曲家ブルックナーと同じ年で、そして同じチェコのドヴォルザークより17歳年上である。

スメタナは1824年に現在のチェコのボヘミア地方で生まれた。
ただし、スメタナの時代、国としてのチェコは存在していない。当時のチェコはオーストリアのハプスブルク帝国支配下にあった広大な地域であった。その広大な地域はボヘミア地方とモラビア地方という2つの地域からなっていた。
なお、19世紀半ば以降、ヨーロッパ全域で沸き起こった民族主義的な考え方、各地域の歴史や文化に誇りを持ち、それを蘇らせる機運が高まる中、ハプスブルク帝国に支配されたチェコ人は民族独立が悲願であった。

NHK-FM(東京) 『音楽の泉 スメタナの「わが祖国」から高い城、モルダウほか』 2024/3/31放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、187項。

スメタナは6歳で神童として登場し、ピアニストとして聴衆の前で演奏した。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、187項。

プラハで音楽を学ぶと、しばらくはプラハで活動するが、思うようには認められなかった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ブラームスの「弦楽六重奏曲 ト長調」他』 2022/07/27放送

32歳になった1856年にスウェーデンのイェーテボリに行くと、そこで初めて音楽家として認められた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ブラームスの「弦楽六重奏曲 ト長調」他』 2022/07/27放送

チェコスロバキアに帰国した後はオペラの作曲家として活動した。
スメタナは、チェコの歴史、伝説、思想、さらに自然の情景を歌い上げた国民オペラと標題音楽、つまり交響詩の作曲に勤しむようになった。スメタナは1850年代にリストが考案したばかりの交響詩に魅了されていた。
スメタナがオペラと交響詩を作曲するのと呼応するかのように、1862年、プラハにチェコの音楽を主なレパートリーとする国民劇場も建てられた。スメタナはその指揮者になり、活動の幅を広げていった。
そして、歌劇「売られた花嫁」、続いて15世紀の騎士を民族解放の英雄として描いた歌劇「ダリボル」、ボヘミア建国時の伝説的な女性を扱った「リブシェ」などのオペラを作曲した。
こうしたオペラに続いて、交響詩というジャンルを作ったリストを尊敬していたスメタナはチェコスロバキアの風景や歴史を題材にした6曲からなる連作交響詩を作曲する計画を立てる。48歳になる1872年から79年にかけて作曲されたのが6曲構成の連作交響詩「わが祖国」である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ブラームスの「弦楽六重奏曲 ト長調」他』 2022/07/27放送。NHK-FM(東京) 『音楽の泉 スメタナの「わが祖国」から高い城、モルダウほか』 2024/3/31放送。ベドルジハ・スメタナ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ベドルジハ・スメタナ

この頃、スメタナは病により聴覚が衰えつつあり、1875年にはほとんど聞こえなくなってしまう。しかし、聴覚を失った後も作曲を続けて完成された「わが祖国」は彼の代表作となった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ブラームスの「弦楽六重奏曲 ト長調」他』 2022/07/27放送

他の音楽家との関係

ドヴォルザーク

ドヴォルザークは国民劇場のヴィオラ奏者であり、指揮者を勤めていたスメタナに作品を褒められ、徐々に作曲家としても頭角を現すようになった。

スメタナの音楽史における位置づけ

チェコの国民楽派

スメタナはドヴォルザークとともにチェコの代表的な国民楽派で、チェコ国民音楽の父として知られる。

国民音楽国民楽派)の特徴・有名な曲・活躍した作曲家・時代背景を知ろう|クラシックなひと時 https://classical-music-info.jp/nationalist-school。NHK-FM(東京) 『モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送

スメタナの作品

代表作・音楽傾向など
ボヘミア独立運動

ボヘミア出身のスメタナの代表作は連作交響詩「わが祖国」であるが、19世紀のボヘミアの音楽は、オーストリア帝国の支配に対する独立運動の高まりと深く結びついている。「わが祖国」も民族運動の高まりの中で生まれ、民族の独立と解放を願うスメタナの思いが色濃く反映された作品である。
第5曲の交響詩「ターボル」と第6曲の交響詩「ブラニーク」はボヘミアの独立運動の高まりを15世紀のフス戦争に重ね合わせている。
フス戦争は15世紀にボヘミアの宗教改革者フスが異端者として処刑されたことに端を発する争いである。この戦争は単なる宗派間の争いにとどまらず、カトリックの権力から自治権を取り戻すための戦争でもあった。ボヘミアの人々にとってフスは英雄となり、フス戦争は異民族による支配から自分たちを解放する運動のシンボルとなった。

NHK-FM(東京) 『モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送

交響詩
わが祖国

この作品は次の6曲からなる組曲(連作交響詩)である。1曲ずつ独立しているが、全体を通して聴く方が望ましいもので、小説でいう連作にあたる。なお、2曲目の「モルダウ」が最も有名である。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、187-188項。NHK-FM(東京) 『音楽の泉 スメタナの「わが祖国」から高い城、モルダウほか』 2024/3/31放送

  1. 高い城
  2. モルダウ
  3. シャールカ
  4. ボヘミアの森と草原から
  5. ターボル
  6. ブラニーク

第4曲 交響詩「ボヘミアの牧場と森から」

交響詩「ボヘミアの牧場と森から」はボヘミアの美しい自然と村の暮らしを描いた作品。
当初、スメタナはこの曲を連作交響詩のフィナーレに考えていた。曲は1875年秋に完成、その年の12月に初演された。

NHK-FM(東京) 『モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送。NHK-FM(東京) 『音楽の泉 スメタナの「わが祖国」から高い城、モルダウほか』 2024/3/31放送

第5曲 交響詩「ターボル」

タイトルの「ターボル」はボヘミアの街の名前である。

NHK-FM(東京) 『モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送

第6曲 交響詩「ブラニーク」

タイトルの「ブラニーク」はボヘミアの丘の名前である。

NHK-FM(東京) 『モーツァルト交響曲第38番「プラハ」 - クラシックカフェ - NHK』 2023/9/5放送



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