シューベルト―作品
シューベルトの作品
作風・音楽傾向など
シューベルトは31歳で世を去るまでに1000を超える作品を残した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューベルトの交響曲第7番「未完成」』 2023/2/13放送
シューベルトといえば「歌曲王」というイメージがあるが、器楽曲にも傑作を残している。
作品目録番号
ドイチェ番号
シューベルトの作品は、ドイチェによるドイチェ番号が使用され、「D」と表記される。
シューベルトの場合、出版に際しての作品番号(op.)を持つものは170程度であるため、通常はD番号が使用されている。
フランツ・シューベルト - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/フランツ・シューベルト#D番号
歌曲
シューベルトの歌曲は、「野ばら」「菩提樹」などが、日本でも知られている。
しかし、当然、その歌詞はドイツ語のため、日本でのシューベルトの歌曲の人気はいまひとつと言える。
いまあげた曲は、日本語の訳詞があることから有名なわけだが、本格的クラシックファンは原語で歌うものしか認めないので、結果として人気がないのである。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、101項。
歌曲集「白鳥の歌」
歌曲集「白鳥の歌」は、シューベルトが亡くなった年1828年の8月から10月の間に創作したとされる最後の14のリート(ドイツ歌曲)を出版業者トビアス・ハスリンガーが白鳥の歌というタイトルでまとめたものである。
白鳥は平常は決して鳴かず、ただ、死の直前だけに鳴くという言い伝えがあることから亡くなったシューベルトを思い出させようという目的でつけられたものだとされている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの交響曲第8番 他』 2022/9/20放送
なお、白鳥は死の間際に美しい声で歌うという言い伝えから、音楽家の最後の作品のタイトルにつけられることがある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューマンのチェロ協奏曲 他』 2022/9/21放送
エレンの歌 第3番 作品52-6 D839「アヴェ・マリア」
「アヴェ・マリア」は聖母マリアを崇め敬うために中世のグレゴリオ聖歌以来、様々な形で歌われてきたが、シューベルトのこの作品はその代表作である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 思いを込めて(1)』 2023/7/10放送
舞曲
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのフルート協奏曲 - クラシックカフェ - NHK』 2023/7/19放送
36の独創的舞曲(最初のワルツ集)作品9 D365
この作品は1818年21歳になる年に書かれた最初のワルツ集。
シューベルトはたびたび親しい友人同士の集まりでワルツを演奏した。演奏された曲は戯れであったり、完成した作品であったり、いろいろだったようで、その場を和やかにして人々の心を温めたという。さりげなくも印象的で、控えめでありながら表情豊か。メロディメーカーとしてのセンスが光る珠玉の舞曲集。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのフルート協奏曲 - クラシックカフェ - NHK』 2023/7/19放送
第2番(悲しみのワルツ)
第2番は特に知られていて「悲しみのワルツ」の愛称でも親しまれている。その美しい旋律は多くの音楽家を魅了した。シューベルトと同じ時代を生きたフルート奏者で、フルートの開発の分野でも名高いベームも第2番の旋律を用いてフルートのための幻想曲を作曲している(「シューベルトの主題による幻想曲 作品21」)。この作品ではシューベルトによる愛らしい旋律が様々に表情を変えて現れる。
NHK-FM(東京) 『ハチャトゥリヤンのフルート協奏曲 - クラシックカフェ - NHK』 2023/7/19放送
器楽曲
シューベルトはわずか31年という短い生涯に膨大な歌曲の他にもピアノ曲、室内楽曲、交響曲など幅広いジャンルの作品を残している。
しかし、様々なジャンルで残された数多くの作品は、歌曲以外にはほとんど世の中に認められず、生前に楽譜が出版されたのはほんの一部である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューマンの交響曲第3番「ライン」』 2023/3/9放送
ピアノ曲
ピアノ小品 D916
1978年に次の2つの未完の小品の断片が発見された。
- ピアノ小品 ハ長調 D916b
- ピアノ小品 ハ短調 D916c
なお、「ピアノ小品 ハ短調 D916c」についてはピアニスト佐藤卓史が補筆完成させた版がある。
NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック 佐藤卓史 ピアノ・リサイタル』 2024/1/16放送
3つのピアノ曲 D946
シューベルトは晩年の1827年から28年にかけて歌曲集「冬の旅」や「最後の3つのソナタ ピアノ・ソナタ」(D958-960)など傑作を次々と作曲した。その才能が最後の花を咲かせた充実の期間であった。
このピアノ曲もこの時期の作品である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドボルザークの交響曲第7番 ほか』 2022/12/26放送
即興曲
シューベルトは1827年に立て続けに8曲の即興曲を書き上げ、それらは2つの曲集に分けられた。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲 他』 2022/06/27放送
4つの即興曲 作品90 D899
4つの即興曲 作品142 D935
ドイチェ番号935としても知られるこの作品は1827年12月に作曲された。シューベルトは、その翌年の11月にウィーンでわずか31年の生涯を閉じている。
楽譜はシューベルトの死から10年以上が過ぎた1839年に4曲まとめて出版された。
シューベルトを深く敬愛していた19世紀ドイツの作曲家シューマンは、この作品について4つの曲全体で1つのピアノ・ソナタのような有機的なつながりを感じると述べている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの五重奏曲「ます」 他』 2022/9/29放送。
連弾曲
シューベルトは少年時代から晩年に至るまで連弾によるピアノ曲をいくつも残している。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューマンのチェロ協奏曲 他』 2022/9/21放送
10代前半から学校の友人たちとピアノの演奏を楽しむためにさまざまな連弾曲を作曲し、それからなくなる31歳までの間に30曲を超える連弾曲を残した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのピアノ・ソナタ「トルコ行進曲付き」他』 2022/10/17放送
3つの軍隊行進曲 作品51 D733
シューベルトが作曲したさまざまな連弾曲の中でも特に知られている作品。
シューベルトが21歳の時に作曲したものと考えられている。この頃、シューベルトはエステルハージ家の2人の娘に音楽を教えていて、彼女たちのために様々な連弾曲を作曲した。
3曲収められているが、第1番が特に知られる。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトのピアノ・ソナタ「トルコ行進曲付き」他』 2022/10/17放送
4手のためのロンド イ長調 作品107 D951
1828年シューベルトが亡くなる年に作曲された連弾。
この年には他にも4手のための幻想曲やアレグロが作曲されているが、劇的なこの2曲に比べて、イ長調のロンドは軽やかで親しみやすい旋律で始まる。
19歳だったシューマンは、この作品を演奏し、深い感銘を受けた。ピアノの師であったヴィークにあてた手紙でこの作品がシューベルトの最高傑作の1つだと絶賛し、そして、この作品には静かな情熱と深くこの世のものとは思えないメランコリーがあると語っている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューマンのチェロ協奏曲 他』 2022/9/21放送
室内楽曲
ピアノ・ソナタ
シューベルトは生涯に20曲あまりのピアノ・ソナタを作曲した。ただし、完成したのはおよそ半分で残り半分は断片だけだったり、一部の楽章だけが残されたりしている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューマンの交響曲第3番「ライン」』 2023/3/9放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シューベルトの歌曲集「冬の旅」』 2024/2/10放送
1815年頃からピアノ・ソナタの創作に熱意を見せるようになり、数多くの傑作を残した。
特に亡くなる直前の1828年9月に作られた3部作と呼ばれる「最後の3つのソナタ ピアノ・ソナタ」(D958-960)は高く評価されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの交響曲第8番 他』 2022/9/20放送
ピアノ・ソナタ 第4番 イ短調 D537
1817年シューベルト20歳の作品。シューベルトが完成させたソナタとしては初期の作品。
この曲を書いた11年後シューベルトはピアノ・ソナタ第20番でこの曲の第2楽章のメロディを再び用いた。馴染みのあるとても美しい旋律。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シューベルトの歌曲集「冬の旅」』 2024/2/10放送
ピアノ・ソナタ 第11番 へ短調 D625
ウィーン原典版では第12番とされる。
ピアノソナタ第11番 (シューベルト) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノソナタ第11番 (シューベルト)
ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D664
このピアノ・ソナタはシューベルトが31歳で世を去った翌年1829年に出版されている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューマンの交響曲第3番「ライン」』 2023/3/9放送
最後の3つのソナタ ピアノ・ソナタ
・ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長 D960
3部作の最後をなす第21番変ロ長調は、シューベルトの全ピアノ・ソナタの中でも最高傑作と言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの交響曲第8番 他』 2022/9/20放送
ピアノ三重奏曲
シューベルトは、ピアノ三重奏曲を10代の頃に1度書こうとしたが、完成しなかった。
晩年の1827年にもう1度このジャンルに取り組み、2曲のピアノ三重奏曲を作曲した。これは同じ年に亡くなったベートーヴェンの影響があると言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの「ピアノ三重奏曲 第1番」他』 2022/08/24放送
古典的な4楽章形式で作曲されている。特に第2楽章はのちにシューマンが高く評価した。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの「ピアノ三重奏曲 第1番」他』 2022/08/24放送
ピアノ三重奏曲 第2番 変ホ長調 作品100 D929
1827年、30歳になるシューベルトは連作歌曲集「冬の旅」の作曲に多くの時間を費やす。この作品はこの歌曲集の合間を縫って同じ年に書き上げられた。豊かな情熱が迸るシューベルト晩年の力作で、初演の翌年にはライプチヒで楽譜が出版され、当時大学生だったシューマンに大きな影響を与えたと伝えられている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューベルトの交響曲第7番「未完成」』 2023/2/13放送
ピアノ五重奏曲 イ長調 D667, Op.114
1819年、22歳の夏にシューベルトは友人とともにウィーンの西170キロぐらいに位置する町シュタイアーを訪れた。中世の美しい街並みが残され、2つの川が合流する風光明媚なこの地で夏を楽しんだシューベルトはシュタイヤーに住むアマチュア音楽家で、かねてからシューベルトの歌曲の大ファンだったというパウムガルトナーから歌曲「ます」の旋律を使ったピアノ五重奏曲を作曲して欲しいと頼また。シューベルトはさっそく作曲に取り掛かり、ウィーンに帰ってまもなく5つの楽章からなるこの作品を完成し、第4楽章を歌曲「ます」の旋律の主題による変奏曲にした。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの五重奏曲「ます」 他』 2022/9/29放送。
第4楽章がシューベルトの歌曲「ます」を主題にした変奏曲となっているため、この作品は「ます」という愛称で知られるようになった。第4楽章が特に有名な作品である。
編成はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという珍しい編成であるが、これは当時、ベートーヴェンと人気を2分した作曲家フンメルのピアノ五重奏曲に倣ったと言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」他』 2022/06/29放送
楽しかった夏の余韻とシューベルトの瑞々しい感染が聞こえてくる名曲である。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの五重奏曲「ます」 他』 2022/9/29放送。
弦楽四重奏曲
シューベルトが23歳の頃に手掛け、第1楽章が完成した後、第1楽章は未完成のまま中断し、その後、筆が進められることはなかった。
完成した第1楽章の初演はシューベルトがなくなった後40年も経ってから行われている。未完成の作品ながら緊張感あふれる主題や美しいメロディーが人々の心を打ち、「四重奏断章」としてしばしば単独で演奏される。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シューベルトの歌曲集「冬の旅」』 2024/2/10放送
弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D810
シューベルトは20歳の時に歌曲「死と乙女」を作曲した。
完成から7年後、その名前を冠した弦楽四重奏曲第14番を作曲した。この作品では第2楽章に歌曲「死と乙女」の旋律が登場するが、全曲を通してこの歌曲の世界観を表したような緊張感あふれる作品に仕上がっている。
マーラーの編曲による弦楽合奏版がある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 ストリングスに魅せられて(1)』 2023/11/13放送
弦楽五重奏曲
シューベルトは弦楽四重奏にチェロを加えて素晴らしい弦楽五重奏曲を書いた。
NHK-FM(東京) 『モーツァルトの弦楽五重奏曲ト短調 - 音楽の泉 - NHK』 2023/7/23放送
八重奏曲 ヘ長調 D803
室内楽の傑作。編成は弦楽四重奏、コントラバス、クラリネット、ファゴット、ホルン。
この曲はアマチュアながらも優れたクラリネットの名手でもあったフェルディナント・トロイヤー伯爵の依頼で書かれた。トロイヤー伯爵は、ベートーヴェンの熱心な支援者だったルドルフ大公の侍従長で、2人はしばしば共演している(ルドルフ大公がピアノ、トロイヤー伯爵がクラリネット)。 トロイヤー伯爵はベートーヴェンの七重奏曲が好きだったので、シューベルトにやはりそのセレナード風の音楽を依頼した。
1824年2月、シューベルト27歳の年に取りかかった。6楽章からなる1時間あまりの大作だが、わずか1カ月ほどで完成させた。初演は3月に依頼主のトロイヤー伯爵の邸宅で行われた。クラリネットはトロイヤーが吹き、第1ヴァイオリンはベートーヴェンの友人としても知られる名ヴァイオリニストのシュパンツィヒであった。
翌年作曲される交響曲第8番グレートに通じるスケール感豊かな音楽である。
NHK-FM(東京) 『音楽の泉 シューベルトの交響曲第3番』 2023/1/29放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シューベルトの八重奏曲』 2023/1/11放送
その他の室内楽曲
5つのドイツ舞曲 D89
1813年16歳の年におそらくモーツァルトを意識して作曲した。
NHK-FM(東京) 『シューベルトのバイオリン・ソナチネ第1番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/4/14放送
バイオリンとピアノのためのソナチネ 第1番 ニ長調 D384
1816年の春19歳の時に作られた。全3楽章。
すでに歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」、「魔王」などを作曲。交響曲は第3番まで完成、そしてソナチネとほぼ同時期に交響曲第4番もできている。
ただし、ソナチネというタイトルはシューベルトがつけたものではなく、19歳のシューベルトは自筆譜にソナタと書き込んでいる。しかしシューベルトが亡くなってから8年後の1836年にウィーンの音楽出版社から初版の楽譜が出た際に優しいソナタ、小さなソナタを意味するソナチネと題された。そのためこの曲はソナチネと呼ばれるようになる。
なお、シューベルトには別に4楽章からなる規模の大きなバイオリンソナタもある。
NHK-FM(東京) 『シューベルトのバイオリン・ソナチネ第1番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/4/14放送
「しぼんだ花」の主題による序奏と変奏曲 D802
歌曲集「美しい水車小屋の娘」の第18曲「しぼんだ花」の旋律はシューベルトの心に特に残ったようで、この歌曲集を作曲した翌年の1824年に「しぼんだ花」を下敷きにしてフルートとピアノのための変奏曲を書いた。序奏と主題に続いて7つのバリエーションが展開さる。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ モーツァルトの弦楽四重奏曲ト長調K.38』 2023/4/12放送
アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D821
アルペジョーネは1823年にウィーンの楽器製作者シュタウファーが考案し、発表した弦楽器である。しかし、広く普及することはないまま忘れられた。
この楽器が発表された翌年の1824年、シューベルトはシュタウファーからの依頼を受けてこの曲を作曲した。3つの楽章からなる大変美しい作品で、今でもチェロやヴィオラなどさまざまな楽器で演奏され、シューベルトの名曲の1つとして、広く愛され続けている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ シューベルトのアルペジョーネ・ソナタ 他』 2022/10/20放送
バイオリンとピアノのためのロンド ロ短調 D895「華麗なるロンド」
「華麗なるロンド」とも呼ばれる。29歳1826年に初演された。
名人芸の憧れも強かったシューベルトは構えの大きなアンダンテの序奏を置き、続いてこれぞシューベルトと喝采を送りたくなるスケール豊かなアレグロの音楽を書いている。音楽的に難しいパッセージの連続、驚きの転調、終わりそうで終わらない作りに魅了される。
NHK-FM(東京) 『シューベルトのバイオリン・ソナチネ第1番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/4/14放送
交響曲
シューベルトが作曲した交響曲は未完成だったり、スケッチや断片しか残っていなかったりするものも含めて全部で13曲ある。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの交響曲第8番 他』 2022/9/20放送
1813年16歳の年に交響曲第1番を作曲し、その後も1818年まで毎年ほぼ1曲のペースで交響曲を書いている。
シューベルトが10代半ばから書いた第1番から第6番の6曲の初期の交響曲はウィーンの商人の館やサロンを拠点としたアマチュアオーケストラによって演奏されたと考えられている。
NHK-FM(東京) 『シューベルトの交響曲第6番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/9/8放送
交響曲 第1番 ニ長調 D82
1813年、声変わりにより神学校を離れることになる16歳のときに書き上げた全4楽章の交響曲。
しかし、この作品が音楽史に登場するのは、シューベルトが亡くなってから50年以上経った1880年代初めのことであった。ロンドンでドイツ出身の指揮者が演奏し、当時のロンドンの新聞が曲を絶賛している。
NHK-FM(東京) 『シューベルトの交響曲第1番 - 音楽の泉 - NHK』 2023/7/16放送
交響曲 第3番 ニ長調 D200
全4楽章。1815年に完成した。ただし、正式に演奏され楽譜が出版されるのはブラームスの時代、1880年代になってからである。
NHK-FM(東京) 『音楽の泉 シューベルトの交響曲第3番』 2023/1/29放送
交響曲 第6番 ハ長調 D589
1818年21歳の年に完成。
シューベルトには「ザ・グレート」と呼ばれる傑作の誉れ高いハ長調の交響曲第8番がある。同じ調性の第6番はそのグレートの陰に隠れがちで、かつては「小さなハ長調」と呼ばれたこともあった。
しかし、第6番はウィーン古典派の流儀を受け継ぐ構えの大きな作り、あふれんばかりの歌心、躍動感、そして大胆な筆致を併せ持つハ長調の名曲である。
NHK-FM(東京) 『シューベルトの交響曲第6番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/9/8放送
なお、シューベルトが交響曲第6番を書き上げた1818年頃、ウィーンはロッシーニのオペラに夢中であった。
シューベルトもウィーンのロッシーニブームと無縁ではなく、ロッシーニのスタイルを意識したオーケストラ序曲を2曲書いているが、交響曲第6番にもロッシーニを意識した調べや響がこだましている。
NHK-FM(東京) 『シューベルトの交響曲第6番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/9/8放送
交響曲 第7番 ロ短調 D759「未完成」
この作品はシューベルトが25歳の年に書いたこの頃、シューベルトはオーストリア第2の都市グラーツのシュタイアマルク音楽協会から名誉会員の称号を贈られ、その返礼として2楽章の交響曲を贈った。楽譜を受け取ったのは、シューベルトのかつての作曲仲間アンゼルム・ヒュッテンブレンナーであったが、当時、交響曲といえば4楽章で構成されたものが多く、2楽章ではまだ未完成だと判断した。ヒュッテンブレンナーはこの新作を発表せず、忘れ去られてしまう。しかし、その後40年近い歳月を経て楽譜が発見され、1865年にようやく初演が行われた。シューベルトの未完成の交響曲として発表されたこの作品は初演までの経緯も相まって、今日でも多くの人々を惹きつける傑作として知られている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 選 シューベルトの交響曲第7番「未完成」』 2023/2/13放送
交響曲 第8番 ハ長調 D944「ザ・グレート」
「ザ・グレート」と呼ばれる傑作の誉れ高いハ長調の作品。
NHK-FM(東京) 『シューベルトの交響曲第6番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/9/8放送
シューベルトが完成した最後の交響曲で、1825年から翌年にかけて書き上げられた。
この交響曲を書き上げるとウィーン楽友協会にスコア(総譜)を提出したが、おそらくこの曲が余りにも長大で演奏が難しかったからか、諸説あるが、当時、楽友協会のオーケストラによって演奏されることはなかったと言われている。
シューベルトの死後、この交響曲は兄フェルディナントによって保管されていたが、シューマンが彼を訪問し、シューベルトの遺作の中からこの交響曲のスコアを見つけると、その価値を高く認め、親交のあったメンデルスゾーンに初演を勧めた。
結局、初演は1839年メンデルスゾーンの指揮のもと行われ、成功をおさめたと言われている。
NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽シューベルトの交響曲第8番 他』 2022/9/20放送
劇付随音楽
ロザムンデ(キプロスの女王ロザムンデ) 作品26 D797
この作品は戯曲「キプロスの女王ロザムンデ」のために作曲された劇付随音楽。作品の中でも間奏曲は特に知られた音楽で、その旋律をシューベルトは弦楽四重奏曲や即興曲にも転用している。
NHK-FM(東京) 『ベートーベンの交響曲第5番 - クラシックの庭 - NHK』 2024/6/24放送
序曲
「ロザムンデ」は間奏曲が有名で、その調べは弦楽四重奏にもピアノ曲にも織り込まれたが、「ロザムンデ」序曲を忘れてはいけない。
しかし、シューベルトはロザムンデのために序曲を書いていない。1823年にウィーンで劇「ロザムンデ」が初演された際にはそれ以前にできていた別の序曲が演奏され、またその後は「魔法の竪琴」というまた別の劇音楽の序曲が「ロザムンデ」序曲として使われた。そのため「ロザムンデ」序曲は「魔法の竪琴」序曲という題名で演奏されることもある。
NHK-FM(東京) 『シューベルトのバイオリン・ソナチネ第1番 - 音楽の泉 - NHK』 2024/4/14放送
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