[歴史②]世界史

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東欧―バルトーク


バルトーク

バルトークの生涯・経歴

バルトーク(1881-1945)は、20世紀、ハンガリーを代表する作曲家、ピアニスト、民俗音楽研究家である。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、238-240項。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのビオラ協奏曲』 2023/5/10放送

バルトークは、1881年、当時ハンガリー王国の一部であった現在のルーマニア西部の村で、農学校校長で音楽愛好家だった父とピアノ教師の母との間に生まれた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、238項。

両親は音楽を愛し、ピアノ教師の母の影響もあり、バルトークも幼くしてピアノの才能を見せた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」』 2024/3/6放送

1898年、17歳の時にウィーン音楽院の入学許可を得たが、国際色豊かなウィーンよりもハンガリーの作曲家としての自分を意識すべきだというドホナーニの薦めに従い、翌年ブダペスト王立音楽院へ入学した(1899-1903)。
音楽院ではピアノと作曲を学んだ。
音楽院へ入る前からブラームスの影響を受けて作曲も始めていたので、在学中から作曲家・演奏家として知られていく。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、239項。小学館 『日本大百科全書』。バルトーク・ベーラ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/バルトーク・ベーラ

そして、同じハンガリーのドホナーニコダーイと交友を持つ中で出会ったのが、ハンガリーやルーマニアの民謡であった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」』 2024/3/6放送

卒業後は、民謡の研究に取り組むようになり、コダーイと一緒にハンガリーの民族音楽を研究した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送。中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、240項。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』 2024/2/5放送

また、1907年には、26歳で母校のピアノ科教授に任命された。

小学館 『日本大百科全書』

やがて作曲家として民族音楽を取り入れた前衛的な作品を発表するようになる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送

1926年のピアノ・ソナタやピアノ協奏曲第1番を皮切りに創作の絶頂期を迎えた。

小学館 『日本大百科全書』

活動の総括

しかし、1907年以降その職にあった母校のピアノ教授の地位を辞する1934年前後から、バルトークはいずれ故国を去ることになるであろうという予感を感じつつ、それまでのすべての活動を総括する仕事に取り組むことになる。

平凡社 『世界大百科事典』

そして、弦楽四重奏曲第5番(1934)、「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」(1936)、「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」(1937)、バイオリン協奏曲第2番(1937~38)など傑作を次々に生み出した。

小学館 『日本大百科全書』

1939年の夏には、作曲家で指揮者だったザッハーの誘いを受けてスイスで過ごした。ヨーロッパが戦争へと傾きつつあるこの時期、ザッハーの別荘で過ごした日々はそうした不安と喧騒を忘れさせてくれた。
その翌年1940年にバルトークはヨーロッパを去りアメリカに移住した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 ストリングスに魅せられて(3)』 2023/11/15放送

アメリカ移住

1939年、ハンガリーのナチズム支配の政治状勢に絶望し、弦楽四重奏曲第6番を決別の歌として書き上げたのち、翌年の1940年にヨーロッパから出てアメリカに亡命した。

小学館 『日本大百科全書』

アメリカではライフワークとしていた民謡の研究を行ない、ピアニストとしても活動するが、作曲の意欲は湧かなかった。バルトークは体調を崩して入院し、経済的に困窮してく。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送

そこに手を差し伸べたのは当時ボストン交響楽団の音楽監督であったクーセヴィツキーやバルトークと親しく、彼がハンガリーから移住する手助けをしたライナーといったアメリカの音楽家であった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送

病苦と経済的困窮の生活のなかで、最後の力をふりしぼって「管弦楽のための協奏曲」(1943)、「無伴奏バイオリン・ソナタ」(1944)などを完成するが、妻ディッタのための「ピアノ協奏曲第3番」の最後の数小節を書き残したままニューヨークで永眠した。

平凡社 『世界大百科事典』

バルトークと他の音楽家との関係

コダーイ

バルトークは20代半ばにハンガリーの作曲家コダーイと出会った。コダーイはバルトークの1歳年下で2人は同世代である。それぞれにハンガリー民謡の採集を始めた頃でたちまち意気投合し、共にハンガリー各地やその周辺の民謡収集と研究を行なった。ハンガリー民謡といえば、19世紀は主にロマの音楽がハンガリーの音楽と思われていたことからバルトークとコダーイはハンガリーの農民の間に伝承されている音楽こそが本当のハンガリー民謡だと考えた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのルーマニア民俗舞曲』 2023/7/27放送

ドホナーニ

ドホナーニは同窓生で、2人は少年時代に出会い、友人になった。
ドホナーニは指揮者としてバルトークを世に紹介した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」』 2024/3/6放送。エルンスト・フォン・ドホナーニ - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/エルンスト・フォン・ドホナーニ。。小学館 『日本大百科全書』

シェルイ

シェルイはバルトークの弟子である。20歳年上のバルトークを敬愛し、バルトークの遺作となったヴィオラ協奏曲も補って完成させている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのビオラ協奏曲』 2023/5/10放送

バルトークの音楽史における位置づけ

国民楽派

バルトークは、祖国ハンガリーの民謡に着想を得た作品で知られている。

NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック ヴェルビエ音楽祭2022(3)』 2022/10/19放送

彼は、真のハンガリー独自の音楽を確立しようとした。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、239項。

現代音楽

バルトークの作品

管弦楽曲
ルーマニア民俗舞曲

1915年、バルトークが34歳の年に書いたピアノ組曲。全6曲。ルーマニア各地で民謡を集め、それらを題材にして6つの小曲を書き上げた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ドボルザークスラブ舞曲 作品46ほか』 2022/08/23放送

その哀愁漂うメロディと特徴的なリズム、そして独特なハーモニーが多くの人々を魅了し、今では様々な編曲でも知られている。バルトーク自身がオーケストラ版を編曲している。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ドボルザークスラブ舞曲作品72』 2023/10/3放送

弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽

バルトークの代表作の1つ。一般に「弦チェレ」と略される。

弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽

バルトークは1936年夏に休暇でスイスを訪れた。そこでスイスの指揮者パウル・ザッハーから自ら設立したバーゼル室内管弦楽団の創立10周年を記念した新作を依頼され、出来上がったのがこの作品。
珍しい編成で書かれているこの作品は舞台上の配置も特殊で、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスによる弦楽合奏のグループが2組用意されて両側に1組ずつ離して置かれ、その中間にチェレスタや様々な打楽器、ピアノなどを配置する。
そして、2組の弦楽合奏が呼応し合いながら音楽が展開し、そこにチェリスタや打楽器などの音がアクセントとして加わって独特な世界が広がっていく。
作品は4つの楽章に分かれ、第1楽章と第3楽章は神秘性を感じるゆったりとした音楽。第2楽章と第4楽章は躍動感あふれるリズミカルな音楽が繰り広げられる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』 2024/2/5放送

弦楽のためのディヴェルティメント

ザッハーの誘いを受けてザッハーのスイスの別荘で過ごした1939年にわずか半月ほどでこの作品を作曲した。
翌年1940年ザッハーが指揮するバーゼル室内管弦楽団の定期演奏会で初演され、ザッハーに献呈された。この初演から間もなくバルトークはヨーロッパを去りアメリカに移住した。この作品はヨーロッパで作曲した最後の作品の1つとなった。全3楽章。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 ストリングスに魅せられて(3)』 2023/11/15放送

弦楽のための協奏曲

この曲は1943年、ボストン交響楽団の音楽監督クーセヴィツキーの依頼で作曲された。入院していたバルトークは急速に作曲の意欲を取り戻し、わずか2カ月という短期間で完成させた。そして、医師の反対を押し切り、ボストンに赴いてリハーサルから参加し、初演にも立ち会い、万雷の拍手を受けた。
バルトークの代表作として演奏会レパートリーに定着している。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの管弦楽のための協奏曲 他』 2022/10/19放送

協奏曲
ピアノ協奏曲

ピアノ協奏曲 第2番

バルトークは1926年にピアノ協奏曲第1番を作曲したが、あまりに前衛的で観客からの理解が得られなかった。
その4年後1930年から翌年にかけてピアノ協奏曲第2番を作曲した。
バルトークは第1番よりも親しみやすく、楽しい主題を用いるようにしたと語っている。その言葉の通り、ピアノ協奏曲第2番には民族音楽的な旋律が頻繁に現れる。しかし、親しみやすいとはいえ、バルトークらしい鋭いリズムに満ちた難曲。
初演は1933年バルトーク自身のピアノで行われた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」』 2024/3/6放送

ピアノ協奏曲 第3番

最晩年の64才の時、病と闘いながら愛する妻のために書いた作品。
1945年余命幾ばくもないことを悟ったバルトークは、自分の死後の妻の生活を案じて息子ピーターに手紙を送った。「お前の母さんのためにピアノ協奏曲を書くつもりだ。母さんがこの曲を3、4カ所で演奏できたら、それなりの収入を得ることができるだろう。」
優れたピアニストだった妻ディッタの才能を際立たせる作品を残す、それはバルトークが長年温めていた夢でもあった。
それまでのバルトークの作風とは少し違い、ディッタの演奏をイメージして作曲されている。
最後の17小節を残し、バルトークは息を引き取ったが、バルトークが書き残した指示に従い、弟子のシェルイが補筆した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ 特集 冬のぽかぽかクラシック(2)』 2022/12/20放送

ビオラ協奏曲

ビオラのために書かれた協奏曲ビオラはヴァイオリンと比較すると、より大きく低い音域を担当していて、その深く豊かな音色は多くの作曲家を魅了してきた。
3楽章のうち、最終楽章の終わりの17小節を残してバルトークは亡くなり、弟子のシェルイ・ティボールが完成させた。シェルイは亡きバルトークの心になりきって作業を進めたと言う。
完成したビオラ協奏曲は、ビオラの暗く厳しい独奏で始まり、瞑想的な第2楽章を経て情熱的な舞曲風の第3楽章でエネルギッシュに終わる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークのビオラ協奏曲』 2023/5/10放送

室内楽曲
弦楽四重奏曲

バルトークは生涯に6曲の弦楽四重奏曲を作曲した。
第1番を書いたのは1908年27歳の年でそれからおよそ30年後の1939年に第6番を作曲した。
6つの弦楽四重奏曲には、創作の初期から円熟期まで、その時代のバルトークの特徴が映し出されている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ベートーベン弦楽四重奏曲作品132 他』 2022/9/26放送

弦楽四重奏曲第5番

この曲は1934年53歳の時に作曲した。
この年、バルトークは作曲家として実り多い時期を迎え、ピアニストとしては国外でも演奏活動を展開し、また、長年研究をしていたハンガリーの民謡の分野では、民族音楽学者として数々の国際会議に出席している。充実した日々を送っていた1934年の夏、わずか1カ月で書き上げたのが、この弦楽四重奏曲第5番である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽ベートーベン弦楽四重奏曲作品132 他』 2022/9/26放送

44のバイオリン二重奏曲

2つのバイオリンのための44の二重奏曲
この作品はバイオリンの演奏技術を学ぶための練習曲として作曲された。ただ、単なる練習曲ではなく、作品としても楽しく鑑賞できるようにハンガリーやルーマニアまたはアラブの民族音楽などを用いて、旋律美あふれる作品に仕上がっている。
全44曲は4つの曲集に分かれ、第1巻と第2巻は初級、第3巻は中級、そして第4巻は上級となっている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽』 2024/2/5放送

ピアノ曲

バルトークはハンガリーやスロバキアなどの民謡を題材にして数多くのピアノ独奏曲を残した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスのクリスマス・オラトリオ』 2023/12/20放送

ルーマニアのクリスマス・キャロル

ピアノ曲集。バルトークが残した数多くのピアノ独奏曲の中には演奏家のためだけではなく、ピアノを学ぶ人のためにもなるようにと考えて作曲された作品もある。
「ルーマニアのクリスマス・キャロル」もその1つとされていて、民謡の素朴な魅力を比較的優しく表現できるように書かれている。それぞれ短い10曲で構成された第1集と第2集がある。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスのクリスマス・オラトリオ』 2023/12/20放送

ピアノのための組曲 作品14

4つの楽章すべてに民族的な雰囲気が感じられるが、 特定の民謡からの引用はなされていない。 この作品は民族音楽についての知識と経験を積み重ねてきたバルトークが、独自の作曲技法を編み出そうと試みた結晶とも考えられている。

NHK-FM(東京) 『ベストオブクラシック ヴェルビエ音楽祭2022(3)』 2022/10/19放送

本作はバルトークのピアノ作品の中でも指折りの重要な楽曲であり、唯一ピアノソナタに比肩しうる存在である。

組曲作品14 (バルトーク) - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/組曲作品14 (バルトーク)



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