ケージ(ジョン・ケージ)
ケージ
ケージの生涯・経歴
ケージ(1912-1992)は20世紀アメリカの作曲家、哲学者である。
小学館 『日本大百科全書』
ケージは1912年、発明家の父親と新聞のコラムニストだった母親のもとにロサンゼルスで生まれた。
高校時代はトップクラスの成績だったが、大学を中退してヨーロッパへと渡り、あちらこちらを放浪した後に帰国し、作曲家になろうと決断した。
当初はヨーロッパの前衛作曲家たちが傾倒していた12音技法を学んだが、自分の感覚とは相容れず、実際に指導を受けたシェーンベルクからも和声の感覚がないと言われた。
ちょうど同じ頃、ヘンリー・カウエルが親しんでいた多彩な民族音楽の世界に触れ、またエドガー・ヴァレーズがアメリカで初演した打楽器アンサンブルの作品に感銘を受けた。そこからケージは打楽器音楽へと大きく舵を切った。
その後、1940年代に入ると打楽器アンサンブルのための作品を次々と書いたが、多くはマース・カニングハムらのモダンダンサーらの伴奏楽として好んで用いられ、打楽器とプリペアド・ピアノの作品を残した。
NHK-FM(東京) 『「現代音楽 100年のレガシー」22 ケージ1 - 現代の音楽 - NHK』 2024/4/7放送。小学館 『日本大百科全書』
1950年代には「易の音楽」(1951)、「4分33秒」(1952)に代表される禅や易思想を背景とした偶然性の音楽に向かい、世界的な名声と中傷を集めた。
小学館 『日本大百科全書』
また、テープ作品「イマジナリ・ランドスケイプ第5番」(1952)、コンピュータ作品「HPSCHD」(1965)、どんな演奏形態も可能な「バリエーションズI」(1958)、サティの原曲を易によって組み替えた「チープ・イミテーション」(1969)などにおいて、図形楽譜、コンタクト・マイク、スピーカー利用といった新たな音楽世界を創造した。
小学館 『日本大百科全書』
なお、主著「沈黙」(1961)に盛り込まれた音楽・芸術思想は多くの反響をよび、第2次世界大戦後の音楽界で重要な位置を占めている。
小学館 『日本大百科全書』
ケージの音楽史における位置づけ
現代音楽
前衛音楽・実験音楽
偶然性音楽
ケージは前衛音楽の代表者である。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、271項。
ケージが師事したシェーンベルクは「調性の破壊」という音楽の革命を成し遂げた。
弟子のケージはその革命をさらに推し進め、「偶発性の音楽」に到達した。
中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、272項。
ケージの偶然性音楽は20世紀後半の作曲界に衝撃を与え、他の芸術分野にも影響を及ぼした。
岩波書店 『広辞苑 第六版』
ケージの作品
クレド・イン・アス(我々の信条)
この作品は1942年にマース・カニングハムとジーン・エルドマンによってダンス初演された。
4人の打楽器奏者が様々な楽器でリズムを刻む。
メディアアートの源泉の1つ。
NHK-FM(東京) 『「現代音楽 100年のレガシー」22 ケージ1 - 現代の音楽 - NHK』 2024/4/7放送
ソナタとインターリュード
ケージのプリペアド・ピアノのための作品の中でも傑作といってよい大作。曲全体は16のソナタとその間に挟まれた4つのインターリュードから構成されていて、演奏時間は70分を超える。
NHK-FM(東京) 『「現代音楽 100年のレガシー」22 ケージ1 - 現代の音楽 - NHK』 2024/4/7放送
ラジオの音楽
ケージはラジオやレコードのようなエレクトロニクスを作品で用いることにも積極的であった。
この作品はラジオを楽器のように扱い、複数のラジオのスイッチをオンにして操作する。いつどこで何人で演奏するかによって全く違う音になり、多くのノイズを含んだ音響が続く。
NHK-FM(東京) 『「現代音楽 100年のレガシー」22 ケージ1 - 現代の音楽 - NHK』 2024/4/7放送
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