[歴史②]世界史

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オリエント世界―メソポタミア文明―シュメール人


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シュメール人とは

シュメール人の定義・意味など

シュメール人とは、シュメール語を話し、メソポタミア南部地域(シュメール地方)に世界最古の古代文明※1を築いた人々※2をいう。

参考:『世界史用語集』 山川出版社、2014年、5頁。『チャート式シリーズ 新世界史』 数研出版、2014年、17頁。

※1平凡社 『世界大百科事典』

※220世紀にはシュメール人という民族の存在がしばしば想定されていたが、現代では「シュメール人」という単一のアイデンティティを持った1つの集団が存在したわけではないと考えられている(ウィキペディアより)。

原住地、来住経路、来住時期、言語系統などは不明で、一般に「シュメール問題」と呼ばれる。

平凡社 『世界大百科事典』

シュメール人の歴史

シュメール人の都市国家

メソポタミア南部では灌漑農業(←乾地農法・略奪農法)が発達し、古代文明成立の原動力となった。
灌漑農業により前3500年頃から人口が急激に増え、神殿を中心に数多くの大村落が成立した。
やがて文字楔形文字)が発明され、青銅器も普及し始めた。

参考:『詳説 世界史』 山川出版、2019年、18頁。『世界史用語集』 山川出版社、2014年、3頁。

前3000年頃には大村落は都市へと発展していった。
各都市はそれぞれ独立の道を歩み、前2700年頃までに都市国家が数多く形成され、互いに覇権を争った。ウル・ウルク・ラガシュなどが強力で、代表的な都市国家である。
これらの都市国家では、王を中心に、神官・役人・戦士などが都市の神をまつり、政治や経済・軍事の実権を握って人々を支配する階級社会が成立した。

参考:『詳説 世界史』 山川出版、2019年、18頁。

セム語系アッカド人による征服

シュメール人より少し遅れて、アラビア方面からセム語系の一部が移動してきて、前3000年頃アッカド地方(メソポタミア南部地域(シュメール地方)の北部)に定着し、シュメール文明を吸収して文明化した。

『チャート式シリーズ 新世界史』 数研出版、2014年、17頁。

そして、前24世紀に、メソポタミアに定着しつつあったアッカド人がシュメール人を征服して、メソポタミア初の統一国家を建てた。
アッカド人はシュメール人の文明を受け継いで発展させたが、異民族の侵入で滅んだとされる。
そして、再び、ウルなどの都市国家が覇権を争った。

『詳説 世界史』 山川出版、2019年、18頁。『世界史用語集』 山川出版社、2014年、5頁。『理解しやすい世界史B』 文英堂、1994年、19頁。

なお、アッカド人によるシュメール征服後も、あらゆる点でシュメール人はアッカド人の教師であった。
アッカド人の統一国家においても、都市国家的伝統が残っていたし、それゆえウル第3王朝の再建に際してシュメール人・アッカド人の協力も可能になった。
シュメール文明とアッカド文明の融合の上に、メソポタミア文明の基本的性格が作られ、それがアムル人に引き継がれる。

『チャート式シリーズ 新世界史』 数研出版、2014年、17頁。

ウル第3王朝

都市国家間の覇権争いの後、シュメール人最後の王朝であるウル第3王朝(前2114~前2004年)がメソポタミア全域を支配した。

『世界史用語集』 山川出版社、2014年、5・6頁。

セム語系のアムル人の侵略

ウル第3王朝はセム語系(現代のアラブ人の直系にあたる)のアムル人などの侵略を受けて、前2000年頃に滅亡した。

『チャート式シリーズ 新世界史』 数研出版、2014年、18頁。アラン・F. アルフォード 『神々の遺伝子―封印された人類誕生の謎』 講談社、1998年。

アムル人はメソポタミアの中・南部に定着し、シュメール・アッカド文明を吸収した。以後、メソポタミア文明は、彼らアムル人によって受け継がれることになる。

『チャート式シリーズ 新世界史』 数研出版、2014年、3頁。アラン・F. アルフォード 『神々の遺伝子―封印された人類誕生の謎』 講談社、1998年。

シュメール人の文明

  • 灌漑農業
  • 楔形文字
  • 青銅器
  • 都市国家
  • 階級社会
  • 天文・暦法・数学・農学・法律
    • 60進法
    • 7曜制
    • 太陰暦・太陰太陽暦など
  • 車輪

都市国家

灌漑農業が始まると、食料生産が発達してさらに多くの人口をやしなうことが可能になり、多数の人間を統一的に支配する国家という仕組みが生まれた。

『詳説 世界史』 山川出版、2019年、12頁。

法律

ウル第3王朝時代には、都市国家を統治する必要から現存する最古の法典であるシュメール法が生み出された。

『よくわかる世界史』 学研プラス、2013年、18頁。『世界史用語集』 山川出版社、2014年、6頁。

シュメール人の意義・評価・解釈

シュメール問題

…、紀元前3800年頃、どこからかシュメール人と呼ばれる民族がやって来ると、信じられない大変化が起こった。文明の一大ブレークとも言うべき現象が起きたのである。メソポタミアの地は、わずかの間に、前例のない大繁栄を記録した。そして、空前とも言える政治権力が打ち立てられたのである。それは、美術、建築、宗教は言うに及ばず、社会機構、日常の細かな慣習から楔形文字の発明に至るまで、それらは、すべて、彼らシュメール人の成せる画期的偉業であった。世界最初と言われる船や車輪つき戦車なども、この頃、シュメール人によってつくられたのである。
この後も、彼らは、エリドゥ、ウル、ウルク、ラガシュと言った高度な都市国家を次々とつくり上げていった。
それらは、都市としては世界最古のもので、今日、我々は、この文明をメソポタミア文明と呼んでいる。

彼らは紀元前3800年前後に、優れた文化を携えて突然と登場したことがわかった。
高度な医学、法体系、慣習などがあり、彼らは、スズと銅を微妙な配分比率で混ぜ合わせて青銅をつくるという合金技術すらも知っていた。医学では白内障での水晶体の混濁部分を除去すれば直るということやその手術方法も知っていた。また、彼らの法体系は画期的なもので、労働者、失業者を保護する法律などがあり、裁判ではすでに陪審員制度がとられていたのだ。議会の二院制もしかり。これらは、現代の法体系に生かされていることは周知の事実である。

シュメール人とはいかなる民族なのか、それも謎に包まれている。シュメール人が、どういう民族で、どういう言葉をしゃべり、どこから来たのか? 一切わからないのである。

もう一つ、彼らの出所を複雑怪奇にする理由は、シュメール文明の基になる文明の痕跡が見当たらないことである。
つまり、いくら発掘を重ねても、それ以前の遺跡が見つからないことである。どういう文明にも、その発端となる文明は存在するものである。それがシュメール文明に関してはそれが見当たらないのである。
何よりも不可解なのは、シュメール人が、使っていた暦だ。それは、月の満ち欠けで、年月をはかる太陰暦と呼べるもので、世界最古の暦(こよみ)と言えるものだった。彼らの用いた暦は、驚異的とも言える恐ろしく正確な暦で、日食、月食のタイミングを始め、様々な惑星の事細かな動きまで詳細に予想出来たのである。さらに、信じられないことには、2万5920年かかって地球の地軸が円を描くという歳差運動(さいさうんどう)の周期すら知っていた! メソポタミアの地に登場して、たかだか2千年ほどで、どうして、そのようなデータがわかったのだろうか?
記録によれば、シュメール人は、当時、すでに何百もの天文用語を使っていたことも判明している。彼らがどのようにして、そのような高度な天文学を持つに至ったのかはわからない。彼らは、世界最古とも言える60進法を基本とする数学を確立し、それに基づいて高度な暦をつくり上げたのである。
かくのごとく高度な天文知識に加えて、恐ろしく高度な彼らシュメール人の文明が、何を手本にし、また何に影響を受けたのかは不明である。ただ言えることは、シュメール文明は、紀元前3800千年ほど前に、奇跡と思える暦、高度な数学、複雑な社会機構や合金技術を持った状態でいきなり歴史に登場して来たということだ。これは何を意味するのだろうか? シュメール文明が、古代史最大の謎と言われている所以がここにあるのだ。

シュメール文明は、その後の世界文明のあり方に大きな影響をおよぼすことになった。今日、我々が何気なく使っている1日が24時間で1時間が60分、1分が60秒という法則も、60進法を基本となすシュメールの高度な数学にあやかっているのである。1ダースが12個や1フィートが12インチと言った単位もそうだし、星座占いに出て来る黄道12宮も、ギリシア神話に登場する12柱の神々の話も、そのルーツを探るとすべてシュメール文明に行き着くのである。つまり、現代の生活は、メイド・イン・シュメールで成り立っていると言っても過言ではない。

アラン・F. アルフォード 『神々の遺伝子―封印された人類誕生の謎』 講談社、1998年。



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