[歴史②]世界史

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パガニーニ


パガニーニ

パガニーニの生涯・経歴

パガニーニ(1782-1840)は19世紀に活躍したイタリアの伝説的なバイオリニスト、作曲家である。

小学館 『日本大百科全書』。NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送。NHK-FM(東京) 『クラシックの庭 レスピーギ交響詩「ローマの松」』 2024/4/22放送

1782年現在のイタリア、ジェノバに生まれた。
幼い頃から神童ぶりを発揮し、11歳で教会にて公式にデビューした。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

12歳で最初のコンサートを開き、天才少年としてデビューした。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、120項。

13歳になる頃には、当時の高名なバイオリニスト、アレッサンドロ・ロッラに私が教えることは何もない、作曲を学びなさいと言われるほどであった。
巨匠の勧めに従って作曲技法を学んだパガニーニはやがて自身の超絶技巧を活かしたバイオリン曲を次々と生み出した。

パガニーニはその生涯の多くを演奏旅行で過ごした。オリジナル作品を携えて、まずは現在のイタリアで名声を高めた。
しかし、1801年から数年間、演奏の記録がない空白の期間がある。一説にはディダという貴婦人と恋に落ち、トスカーナ地方の彼女の邸宅でひっそりと暮らしていたと言う。そして、ギターが好きだった彼女に触発されて毎日ギターを弾いたとも言われている。

トスカーナ地方で穏やかな数年間を過ごした後、パガニーニは再び音楽界の表舞台へと舞い戻る。1805年にはナポレオンの妹エリザ・ボナパルトが治めるルッカ公国で宮廷管弦楽団リーダー及びソロバイオリニストに就任した。

そして、このイタリアでの活躍を経て、1828年に満を持してヨーロッパ演奏旅行を開始する。最初の年は音楽の都ウィーンであった。パガニーニの超絶技巧についてすでに聞き及んでいたウィーンの人たちは大騒ぎした。街にはパガニーニ風と名付けられたグッズが溢れ、中には高いチケットを買うために家財道具を売り払った人がいたなど数々の伝説が残っている。演奏会に足を運んだ聴衆の中にはシューベルトもいた。
こうして1828年からの6年にわたるヨーロッパ演奏旅行では音楽史に残る空前の大成功を収めた。観るものの想像を超えるあまりの超絶技巧に悪魔とさえ言われた。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

パガニーニの人物像

守銭奴

パガニーニは史上最もケチな音楽家としても知られている。
偽造チケットが出回るようになると、自分でコンサート会場の入り口に立ってチェックしたという。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、120-121項。

また、パガニーニは出版した少数の作品を除き、自身の曲を盗まれることを防ぐために滞在するホテルでも練習しなかったと言われている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

パガニーニと他の音楽家との関係

ロッシーニ

パガニーニはロッシーニのファンだった。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスの幻想曲「アフリカ」』 2023/5/29放送

同時代の音楽家たちへの大きな影響

パガニーニの音楽は同時代の音楽家たちに大きな影響を与え、リストシューマンブラームスラフマニノフショパンなどそうそうたる巨匠たちがこぞってパガニーニの旋律を使って作曲した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

リスト

リストは観客に媚びた技術のひけらかしに疑問を持っていた。そうした折、20歳になる年の1831年パリで初めてパガニーニの演奏を聴いた。極限まで高めた技巧とその技術に裏打ちされた大きな音楽性に衝撃を受けたリストはピアノのパガニーニになると決意し、その後、ピアノの演奏技法を開発して次々と名曲を生み出して行った。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

パガニーニの意義・評価

音楽史上最も有名なバイオリニスト

パガニーニはバイオリンの超絶技巧を駆使した華麗な演奏でヨーロッパ中を風靡した。

NHK-FM(東京) 『クラシックの庭 レスピーギ交響詩「ローマの松」』 2024/4/22放送

音楽史上最も有名なバイオリニストで、あまりにも超絶技巧の演奏をし、とても人間業とは思えないため、当時の人々が「あいつは悪魔に魂を売り、その代償にあのテクニックを授かったに違いない」と本気で信じて噂した。

中川 右介 『クラシック音楽の歴史』 角川ソフィア文庫、2017年、120項。

パガニーニの作品

パガニーニを診断した当時の医者は、手は普通の大きさだが広げると倍になったと語ったと言う。パガニーニの編み出した超絶技巧は、まさに左手が大きく広がることを前提とした技術で、生まれ持ったこの身体的特徴に音楽的アイデアを合わせて次々と名作を生み出した。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

彼の技巧や表現法は彼自身の作品、とくに「無伴奏バイオリンのための24の奇想曲」に集約されている。
なお、このなかの旋律によりシューマンリストブラームスはピアノ曲を編・作曲している。

また、ほかに6曲のバイオリン協奏曲を残していて、特に第2番の第3楽章「鐘のロンド」が有名で、リストはこの主題を編曲してピアノ独奏曲を作っている。

小学館 『日本大百科全書』

バイオリン協奏曲
バイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品6

この作品も様々な技巧が凝らされていて、楽器のありとあらゆる音色を楽しむことができる。3つの楽章からなる。

NHK-FM(東京) 『クラシックの庭 レスピーギ交響詩「ローマの松」』 2024/4/22放送

バイオリン協奏曲 第2番 ロ短調 作品7 MS48「ラ・カンパネラ(鐘)」

先述したようにパガニーニは1828年にヨーロッパ演奏旅行を開始する。最初の年は音楽の都ウィーンであった。ウィーンでの演奏会に足を運んだ聴衆の中にはシューベルトもいた。シューベルトは後日その時の感想を「アダージョの中で天使の声を聞いた」と友人に語っている。この時にシューベルトが聞いたアダージョは諸説あるが、バイオリン協奏曲第2番第2楽章であると言われている。
また、第3楽章は「鐘(ラ・カンパネラ)」の副題で有名で、リストはこの第3楽章の主題を4回編曲してピアノ独奏曲を作っている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

バイオリンと管弦楽のための作品
ナポレオン・ソナタ 変ホ長調 MS5

先述したようにパガニーニは1805年にナポレオンの妹エリザ・ボナパルトが治めるルッカ公国で宮廷管弦楽団リーダー及びソロバイオリニストに就任した。
あるときパガニーニはバイオリンの弦を2本外して一番低い弦 G線と一番高い弦 E線の2弦のみで演奏した。「愛の情景」という曲で、 G線は男性、 E線は女性を表し、男女の会話に見立てたものである。それを聞いた王女は1本の弦だけで聴衆を楽しませるのは難しいだろうかと言い、それに答えて生まれたのがこの曲である。この作品はおよそ9分間G線のみで演奏する。
ほかの弦を使えば容易に演奏できる旋律をあえて G線のみとすることで、左手が激しく上下する超絶技巧を見せることができ、また、一方では他の線では奏でることのできない渋みのある深く柔らかな音色を楽しむことができる。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

ロッシーニの「モーゼ」の主題による幻想曲 ハ長調 MS23

この曲は変奏曲形式で書かれた作品で、その主題に用いられているのはロッシーニの歌劇「エジプトのモーゼ」の旋律である。
「エジプトのモーゼ」は旧約聖書を題材にした作品で、預言者モーゼが奴隷にされていたヘブライ人を率いてエジプトを脱出しようとする物語である。
ロッシーニファンだったパガニーニはオペラの旋律を大変気に入り、自らが演奏するためのバイオリン作品に生まれ変わらせた。作品は哀愁漂う序奏で始まり、明るい主題の後、3つの変奏が演奏される。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ サン・サーンスの幻想曲「アフリカ」』 2023/5/29放送

常動曲 ハ長調 作品11 MS72

パガニーニの超絶技巧を象徴する作品の1つ。
タイトルは「常動曲」で常に動く曲と書く。その名の通り最後の3つの音を除いて2248個の16分音符をひたすら弾き続ける曲である。猛スピードで2248個の音すべてを正確に抑える必要があり、バイオリンは弦を押さえる左手の指が1mmでもずれると音が狂ってしまうという。16分音符2248個の芸術である。
なお、この作品はバイオリンとピアノで演奏されることが一般的である。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

室内楽曲
バイオリンとギターのための6つのソナタ 作品3 MS27

演奏の記録がない1801年から数年間の空白の期間に作曲あるいは構想されたバイオリンとギターのための作品。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

バイオリン独奏曲
無伴奏バイオリンのための24の奇想曲 作品1 MS25

記念すべき作品1として出版されたパガニーニの代表作。超絶技巧の粋を集めた24曲のバイオリン独奏曲が収められている。バイオリンを志す者が必ず取り組むバイブルとなっている。
最も有名な曲は24番。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

なお、今では楽器の垣根を越えてチェロでも演奏されるようになっている。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送

「ネル・コル・ピウ」による変奏曲 ト長調 作品38 MS44

先述したようにパガニーニの編み出した超絶技巧は左手が大きく広がることを前提とした技術で、生まれ持ったこの身体的特徴に音楽的アイデアを合わせて次々と名作を生み出した。そうしてたどり着いたのが、バイオリンの概念を変えた超絶技巧の最高峰ともいえるこの作品。

NHK-FM(東京) 『クラシックカフェ ▽パガニーニの「24の奇想曲」から 他』 2023/6/30放送



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